パレット  世界の国々・出逢の風景   〜ヨーロッパ編〜
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ブルージュ
水彩
ブルージュ
1985年夏
水の都ブルージュは、ベルギーを代表する観光地です。ヨーロッパでも有数の古い街。9世紀頃から記録にあり15世紀頃に頂点を極め、それ以来時の流れが止まってしまったといわれています。運河沿いのその趣きある風景に魅了されました。時折、静寂を破って小さな観光船が通り過ぎたことを思い出します。
ルクセンブルグ
水彩
ルクセンブルグ
1985年夏
フランス、ベルギー、ドイツに囲まれた、この小さな大公国(神奈川県とほぼ同じ広さだが、人口は神奈川県の850万人に比べてわずか40万人余り)は、ゆっくり立寄ることは出来ず、路肩に車を止めでスケッチしただけで通過しました。この国は、世界一生活水準が高いとか。金融の街だからでしょうか、いかにも華麗で裕福そうな建物の並ぶ景観に眼を奪われました。
ファドーツ城
水彩
リヒテンシュタイン公国
2000年7月
この城は、リヒテンシュタイン公国(ヨーロッパで4番目に小さい国、切手の国として有名です)の王様が居住されている館。ファドーツ市街から見上げる丘の上に、白く輝いて見えました。長い坂道を、時々石の階段を使ってショウトカット。緑陰に助けられ、眼下に広がる市街地の展望を楽しみ乍ら登りましたが疲れました。門の中は、立入り禁止。奇麗に手入れが行き届いた遊歩道のベンチで昼食を済ませ、歴史を感じさせる城のスケッチに集中しました。
ラック・ブラン
油彩
フランス
2004年8月
ラック・ブラン(白い湖)からの眺めです。深い谷の向こうに見える白い山群はグランド・ジョラス(4208m)。世界中のアルピニストが憧れる山であり、世界百名山の一つとしても有名です。スイスとイタリアの国境に聳え立っています。ラック・ブランを見下ろすこの斜面からの眺めは、こうした山々がパノラミックに一望出来る素晴らしい場所でした。
ドイツFRANKFURT
水彩
ドイツ
1985年夏
1985年夏、始めてレンタカーでアウトバーンを走りました。オランダ、ベルギー、ルクセンブルグと巡り、ドイツのフランクフルト空港から帰国する日のことでした。チェックインのその時になって、あるはずの航空券が見当りません。無念のキャンセル。予約の飛行機は飛び立って行きました。やむなくこの街に沈没することになったその翌日、国際都市として発展しつつある街を散策しました。昨日まで眺めてきた諸都市とは違って、明るい近代都市としての活気が溢れていました。トラブルのお蔭で描き残すことになった思い出の一枚です。
ワルシャワ旧市街(世界遺産)
水彩 33×23
ポーランド
2005年10月
此処は第二次大戦で、ナチス・ドイツ軍により破壊され、ほとんど廃墟と化してしまった街です。だから、今在る街は戦後再現・復興されたものです。残されていた精密銅版画や人々の記憶などを手がかりにして、建物の色や装飾、壁のひび割れ一本までも忠実に、ほぼ完全な姿になる迄執念で復元したといいますから驚きです。
特等席
油彩・F100号
スイス
2007年3月
この椅子は、ホーサース展望台(3098m)に備えてあります。眼前に聳え立つスイス最高峰ドム(4545m)を主峰とするミシャベル山群の景観を存分に堪能出来る「特等席」です。妻と共に此処を訪ねたのは、これで3度目。この夏(2005年)、今迄で一番の天候に恵まれました。「今回が見納めになるかもしれない」そんな感慨と感謝の気持をこめて描かせてもらった久しぶりの大作です。勿論、特等席に座っているのは僕の妻であります。
ショパンの生家
油彩画 F3
ポーランド
2005年10月
この家では、毎日曜日の午後にはピアノコンサートが開かれているそうです。庭にはベンチが並べられていて、誰でも自由に聴くことが出来るようになっていました。午後2時、ショパンを愛する人たちが、静かに演奏の始まるのを待っている姿がありました。僕は庭の一隅に腰を据え、演奏を聴き乍らその情景を写生することに専念しました。素敵な環境の中で、最高に贅沢な時間を持つことが出来たように思います。
村の教会とドリュ
油彩画53.0×40.9cm
フランス
2004年8月
シャモニより東へ4キロの地点、ル・プラのバス停前に、かわいい教会が建っています。8月、ラックブランからの帰途、此処でひと休みしました。教会の後方にドリュの鋭峰(3754m)が見えました。この日は、頭に薄いベールを被っていて、それは、荘厳なまでに美しい姿でした。ここは、ドリュ峰が最も素敵に見える場所としてシャモニ随一の名所でもあります。
ボウサーダ
水彩
ポルトガル
2000年1月
2000年の年初め、北部ポルトガルの都市:ギマランエスに1泊しました。この街外れの岡に建つのがボウサーダ。昔の修道院を、外見やその雰囲気を大切に保存し乍ら、内部は現代的なホテルに改装した国営の高級宿泊施設です。期待通りのホテルでした。そのいかにも歴史を感じさせる重厚な景観をスケッチしようと、寒風に指が痛くなるのを我慢し乍ら描かせてもらいました。
貴族の館
(油彩・4F)
英国/エジンバラ
2004年6月
 昔、貴族が住んでいた館をホテルに改造したものらしい。手入れの行き届いた広い敷地にグリーンの芝生が美しく、それを取り囲むように満開のシャクナゲが咲いていた。しっとりとした落ち着きがあって心が和む。その木の丈は3メートル余りあるのもあり、幾種類もの花を咲かせて豪華そのもの。さすがはシャクナゲ王国であると感嘆。日没迄には、まだ暫くの時間があったので、急いでスケッチブックを開き、写生に取りかかった。
中世の橋
(水彩)
英国/イングランド
2004年6月
 ローマ人によって創設されたという古都チェスター。北イングランドに位置しており、城壁に囲まれた城塞都市である。街を一周している城壁の上に作られた遊歩道を歩いてみた。格別面白い眺めはなかったが、途中、Dee Riverに架けられている橋は、中世の趣きを残しており、その重量感ある姿は魅力ある景観であった。川縁に降りて、写生した。
峠の朝
(油彩・12P)
スイス/グリンデルワルド
2004年8月
 朝一番のバスで、グローセ・シャイデック峠を訪ねた。峠を基点にして人気のトレッキングコースがあるので、グリンデル始発のバスは満席であった。グリーンがいっぱいの峠に到着した時、東に聳える山並みを越えて朝の日差しが峠を照らし始めた。グリーンが目に優しく輝いた。朝日を浴びてゆったり歩き始める牛たちがいた。遥か遠い谷間も望める峠の朝は、爽やかな空気に包まれ、限りなく平和な情景であった。(日記から)
コッツウオルズ風景
水彩画
英国/ボートン・オン・ザ・ウオーター
2004年6月
 コッツウオルズ地方は、英国人の原風景・理想とする風景が残る美しい丘陵地帯であり、“蜂蜜色の石造りの街並み”が魅力と言われています。この絵は、その地方の『ボートン・オン・ザ・ウオーター』の景観を写生したものです。
  街の中心を美しく澄んだ小川が流れていました。流れに沿って散歩道があり、人々の憩う姿がありました。そこに架けられた石橋は,当時のままの姿なのでしょう。手摺もない素朴な佇まいは、いかにもこの川に相応しいものに思えました。陽光と緑の風が頬に優しく、いかにも心安らぐ幸せに満ちた景観でした。
ベルニナ山群
水彩画(32.0×23.0)
スイス/コルヴァッチ
2000年・夏
 ベルニナ山群の中央に眺められるのがチェルバ氷河、左にベルニナ山群の最高峰ピッツ・ベルニナ Piz Bernina(4049)、右に聳えるのが、ピッツ・ロゼック Piz Roseg(3937)。美しいシルヴァプラーナ(Silvaplana)湖の対岸にあるスールレーユ(Surlej )からロープウエイで10分。途中駅のムルテル(Murtel)で下車。ここから徒歩40分でこの見晴らしのいい鞍部:フォルクラ・スールレーユに到着出来ます。ピッツ・コルヴァッチ(3303m)の展望台からよりもやや仰ぎ見ることになる眺めは、山の雄大さ・高さが感じられて秀逸だと思います。この山もスイスを代表する名山であり、この山群はベルニナ・アルプスとも呼ばれています。
ミシャベル山群
水彩画(320×230)
スイス/ゴルナーグラート
2000年・夏
 ツェルマット駅前からスタートする真赤な登山列車に乗って45分。終点ゴルナーグラート・シュトックホルンの展望台(3135m)に立つと、そこには、スイスを代表するヴァリスの名峰が勢揃いしています。360度の展望は正に圧巻です。
 そのゴルナーグラート頂上近くから東の方角に見えるのがこの風景です。ドーム Dom(4545m)を盟主とするミシャベル山群の堂々たる姿です。この年は残雪も多く、それが 朝日を受けて輝き、湧き立つ雲の上に白く佇む山群の景観もまた、貫禄を感じさせて格別の美しさであると思いました。
スイス北方の山
水彩画(370×280)
スイス/カッソンズ・グラート
2000年・夏
 クールから西へバスで40分の山間に、小さなフリムス(Flims) 村が在ります。冬期には、スキーのメッカとして有名です。この村から、リフトに乗りゴンドラに乗り換え、標高2700mのカッソンズまで上がる事が出来ます。更に10分位登ると、そこは広くなだらかな地形のカッソンズ・グラート(Cassons Grat)。山頂には大きなケルンやスイスの国旗が立ち、此所からの360度のパノラマは壮観でした。遥か遠くにマッターホルンの山姿も眺めることが出来ました。この絵の山は、カッソンズ・グラートに沿い、北の方角に聳えるTschingelhorner(2849m)という山です。この個性的な姿は、フリムス村からも見ることが出来ます。
シュレックホルン
油彩・P10号
スイス/フィルスト
1998年9月
 平成10年5月のこと、高校時代からの親友が、突然冥界に旅立ってしまいました。同じ美術の道を歩いてきた友でした。
 彼の葬儀を済ませた翌日、僕は彼の家族の了承を得て遺骨の一部を胸に抱きスイスに旅立ちました。1ヶ月程一緒に山々を訪ね、展望の良い13のポイントに彼の遺骨を埋葬しました。ここフィルストもその内の一つです。この日は雪が深く、目的としていた場所まで行く事は出来ませんでしたが、ここからの展望も雄大で素晴らしいものでした。中でも、白く輝くシュレックホルンの眺めは格別でした。雪を掘り下げ、遺骨は柔らかい紙に包んで埋葬しました。
 しばし彼と展望を共有しながらの写生、思えば、高校時代も含めてこれが最初のことであり、思い出深い作品になりました。
マッターホルン
水彩・24.0cm×34.5cm
スイス/リッフェルベルク
1998年・夏
 イタリアとの国境をなすヴァリス・アルプスきっての名峰ですが、世界的にもよく知られている名山(4478m)の一つだと思います。
 孤高を守り難攻不落を誇っていましたが、遂に1865年の夏、英国の登山家;ウインパーによって初登頂されたのは有名な話。そして、下山途中に一行7人の内4名が墜落するという悲劇が起きたのも有名な話です。登山基地の町;ツェルマットに在る山岳博物館に、その時の資料が展示されています。今では毎年多くの人が登頂していますが、難易度の高い山であることに変わりはありません。
 ゴルナーグラートから、左にマッターホルンを、正面にオーバー・ガーベルホルンやヴァイスホルンが居並ぶ壮大な眺めを楽しみ乍ら、リッフェルベルク礼拝堂の近く迄下って来た時、マッターホルンとしては大変珍しい雲の形を背にして、とても颯爽とした姿を見せてくれました。特にこの角度から眺めると、いかにも登頂困難な山に見えますが、南側から眺めると穏やか稜線を見せてくれるのです。
ツークシュピッツェ
油彩・P10号
ドイツ/ガルミッシュ・パルテンキルヘン
1996年・夏
 ドイツ最高峰の山(2962m)で、ドイツの富士山と言われています。しかし、この山はドイツとオーストリアに跨がって聳えており、オーストリアの名山でもあります。
 山頂には国境線が引いてあり、そのラインを跨いで記念の撮影をする人たちが沢山いました。また、ラインを挟んでそれぞれの国のレストランがあり、パスポートなしで往来は自由です。
 ドイツ側に更なるピークがあり、それは切り立つ岩の先端であり、そこに十字架が建てられていました。鎖に掴まり乍ら、そこ迄行くことが出来ます。勿論、その十字架に挨拶をしてきました。そして、風に飛ばされないようしっかり鎖を握り締め乍ら、360度の展望を楽しみました。
ソーリオ風景
油彩・P30号
スイス/エンガディン
1998年・夏
 スイスを代表する山岳画家:セガンチーニが愛した山上の集落ソーリオは、牧歌的で心休まる楽園のようでした。スイスの東部、エンガディンの谷で、出逢った風景です。
 僕が彼の名前を知ったのは、高校時代です。倉敷市の大原美術館を訪ねた時、『アルプスの真昼』と題した作品が、僕を惹き付けました。
 画面中央に青い衣装の羊飼いの少女が澄み切った青空を背に描かれてあり、画面全体にアルプスならではの透明な明るい光が充ち溢れていました。あまりにも強烈な印象で、今なお忘れる事が出来ません。その時から、僕のアルプスへの憧れが始まったのだ、と思います。
 彼は、終生山の中で暮らし、山を描き続け孤独を愛した画家です。冬期、山上のヒュッテで若い生涯(41歳)を閉じましたが、『もっとよく山を見たい』と言うのが、彼の最後の言葉であったと伝えられています。
ミラベル庭園
油彩・P8号
オーストリア/ザルツブルク
1996年・秋
 ザルツブルグは、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台になったことで有名ですが、もともと天才モーツアルトやカラヤンを輩出した音楽の都です。夏になると国際音楽祭が開催されて、町中が沸き立ちます。此所を訪ねたのは、丁度そんな時でした。実は、電車の窓から美しいザルツブルグ城塞を眺めたとたん、即下車を決めたのでした。
 この庭園には、花々が幾何学的に美しく配置・構成されており、豊かな水の噴水があり、そこには彫刻があり、ゆったりした遊歩道もあって、多くの人たちが楽しんでいました。この庭園も映画の1シーンに使われたそうです。後ろに見えるのが、この街のシンボル:ホ−エンザルツブルグ城塞です。
 庭園入り口の、石垣の上に座り込んで写生しました。




〜世界の国々・出逢の風景〜
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