2008ヒマラヤ・ネパールの旅

◆4日目(3月8日)晴れ

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◆サランコットの丘

5時起床、サランコットの丘で日の出を見ようと5時半、バスに乗り込み出発した。まだ暗い道をおよそ30分。バスは展望台下まで連れて行ってくれた。既に駐車している車が3台程。石段を少し登っただけで展望台に立つことが出来た。そこは、100人も立てば誰かこぼれ落ちてしまいそうな狭い場所。すでに沢山の観光客が、それぞれカメラを構えてスタンバイしていた。
 日の出の予定は6時40分。しかし時間になっても、なかなか顔を出してくれない。東の空に居座っている雲が邪魔をしているのだ。
 間もなくその雲の周囲が赤く染まった。そして、10分遅れての日の出となった。うすぼんやりの赤い太陽が顔を見せた。空気が霞んでいたこともあって、期待していた程の感動はない。しかも、束の間の顔見せで終わってしまった。東の空に屯していた雲たちが朝日を背に受けて動き始め、折角の朝日を包み隠してしまったからである。はるばる、此処迄来たのに!・・・意地悪されている気分であった(写真下)。

東の空があかるくなった

ようやく太陽が顔を見せた

太陽は沢山の雲に隠されてしまった

 明るくなった北の空に、ピンクの衣装を身に纏ったヒマラヤが姿を表した。ピンクとは言えパステルカラーを更にぼかしたような淡い色調、カメラに収めようにもはっきりしない映像である。急いで記念撮影(写真下)。


ピンクに霞むアンナプルナを背景に記念撮影

 尾根道を更に30分ほど登った所にある展望台目指してトレッキングに出掛ける皆さんを見送り、一人スケッチブックを広げた(写真下)。

水彩画「サランコットの丘からマチャプチャレ」

◆国際山岳博物館


国際山岳博物館玄関横に造られたマチャプチャレ

 8時、ホテルにて朝食。一休みして10時、A夫妻と一人参加の女性も一緒に、5人で国際山岳博物館を訪ねた。ホテルから歩いて20分程のところに在った(写真右)。
 1998年、日本山岳会主催のネパールトレッキングが終了した時、カトマンドゥのホテル・ヒマラヤに於いて、記念のレセプション・パーティーが開催された。席上、国際山岳博物館建設支援金の贈呈式が行われ、併せて、参加者全員が博物館の誕生を祝う為、1冊ずつ日本から持参した本の寄贈式も行われた。勿論、A氏も僕も寄贈したので、それらの本がどうなっているか確かめてみたい気持ちもあったのである。
 博物館の2人の職員が出迎えてくれて凡そ2時間、館内を丁寧に案内してくれた。


館内の様子

 館内には、大きく引き延ばされた迫力ある山岳写真や世界各国の登山家たちが使用した登山用具、ネパールの代表的な山岳民族の等身大人形とか日本の民族衣装(明治時代初期?)なども展示されていた(写真下)。

 


館内の様子

日本の民族衣装と蓑や藁靴など

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左:スロベニアの民族衣装、中央:「グルン族」:ネパールの代表的山岳民族、右:「シェルパ族」高地に住む少数民族で山の案内人として活躍している

 エベレスト登頂に女性として世界で初めて成功した田部井淳子さんが使用した道具とか、野口健さんが清掃登山でエベレストから持ち帰った沢山の使用済み酸素ボンベなども展示されていた。これを展示した博物館と野口健さんの願いが多くの人たちに伝わることを願う。極限の状況で、用済みのボンベを持ち帰る体力がなかった場合もあるだろうが、それは言い訳に過ぎない。山を愛する者ならばなお更に、山の自然は自己責任で守るのが当り前でなくてはならない。近年、日本の山もゴミで汚されつつあることを悲しく思う。

杉山 脩・作「ダウラギリ」

  展示コーナーの中に、昨年死去された日本画家:片岡球子氏の作品が異彩を放っていた。親しくしている友人の版画家:杉山 脩氏の作品も展示されていたので記念にカメラに収めた(写真左)。

 総体的に、日本人による大型写真や作品など、ヒマラヤの自然保護に対する貢献度は極めて高いように思われ、誇らしく感じられた。図書室にも寄ってみたが、日本から寄贈された本の中に、僕らが寄贈した本を確かめることが出来ず残念であった。

 案内してくれた職員も一緒に玄関で記念撮影。約束の時間を気にし乍ら博物館を後にした(写真下)。


玄関入り口で記念撮影

裏門付近から眺めた山岳博物館

◆平和で明るい暮らし


洗濯にいそしむ女性は健康そのもの。

 特別に博物館の裏門を開けてもらい、ホテルまでの近道を散策しながら歩いた。ポカラの人々の生活を少しだけ垣間みることが出来たように思う。
 カトマンズと違って、此の地に流れる小川は清流であった。岸辺でひたすら洗濯している女性には、明るい暮らしの健康家族がだぶって見えた(写真右)。


ままごと遊びをしていた子供の表情がいい

  お姉さんとままごとをして遊んでいた男の子は、カメラを向けるとはにかんだ(写真左)。 末っ子の甘えん坊なのだろう。3人のそれぞれの表情には、幼い兄弟の絆が感じられた。

 

 子供の笑い声がするので見上げたら、木登りに興じているおてんば娘と男の子たちの笑顔があった(写真下)。明るく元気な子供らしさに輝いていた。正に子供の世界。見ている方も笑顔になってしまう。

伸び伸びと遊ぶ子供の笑顔は底抜けに明るい

八重歯も可愛い村の娘

 偶然道で出会っただけなのに、一言の挨拶に明るく応えた少女の何と伸びやかで美しい笑顔だったことか(写真左)。「奇麗だね!1枚撮らせて!」娘は、少しの躊躇もなく応えてくれた。カメラに向って、こぼれる八重歯がキラリ! 可愛く輝いた。「ありがとう!」少し歩いて振り向くと、娘は笑顔のまま手を振っていた。ふと日陰を覗いてみたら、仲良く寛ぐ鶏と家鴨の姿があった(写真下)。どれも、遠い昔見た事のあるような、平和で懐かしい心安らぐ情景である。


警戒する様子も無い鶏と家鴨

◆ポカラ市内観光


デビット・フォール:
湖から流れて来る水が此処で岸壁の大きな穴に
吸い込まれていく。 この先、どうなっていくのか
分からないらしい。

 12時30分より市内観光に出発。先ずは、<デビット・フォール>を見学して(写真左)、次にレイクサイドに店を構える日本料理の店:「古都」に寄り、昼食。用意されていたメニューは。「すき焼き定食」であった(写真下)。みそ汁を旨いと思ったが、長期滞在の日本人ならばいざ知らず、はるばるネパールを訪ねての「すき焼き定食」とは如何なものか。旅行社の善意とは思うがあまり嬉しくはなかった。


「すき焼き定食」
  腹ごしらえを済ませて、歩いてペア湖へ。しばしボートクルーズを楽しむ(写真下)。 

広いペア湖を20分程ボートクルーズで楽しむ

僕らのボートを漕いでくれた女船頭

 バスで移動。<ヒンドゥバシニ寺院※>では、挙式前の花嫁と花婿の姿があった。

※ ヒンドゥバシニ寺院:小高い丘の上に建っているヒンドゥ教の神々を祀る寺院。この国では今なおカースト制が生きているらしいが、身分、階層を問わず受け入れてくれるお寺として人気が高いそうだ。少し訳ありかな?と思える,新郎新婦の姿があった。

 華やいだ雰囲気が感じられなかったのには、それなりの事情があるのであろう。若い二人の旅立ち、華やいだ衣装の下に厳しさが隠されているように思えた。花婿と話し合う男たちには、改めてその覚悟を確かめているような真剣さが漲っていたように思う。幸せになれるといいな、と思った(写真下)。

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新郎新婦。衣装を整えてもらう花嫁の眼には涙が光っていたようだ。広場で花嫁を待つ花婿は、知人たちとどんな会話をしているのだろう?男たちに笑顔はなく、みんな真剣な表情であった。

 <オールドバザール>は、人影も少なく廃墟寸前。かろうじてその昔栄えた面影を止めていた(写真下)。

オールドバザール:かってはチベットとの公益で栄えたらしい。現在は、歴史的遺産として観光用に保存されていると言う。

ホテルの庭にいた珍しいトカゲ(タテガミがついている!)

 夕食までの一時、庭を散策して、新しい花を見つけてはカメラに収めた。建物の日だまりには、身長20cm位のトカゲも居た(写真左)。イグアナを連想させる初めて目にする珍しいトカゲであった。A氏夫妻の部屋でお茶とお菓子をつまみ乍ら談笑。ゆっくりと寛ぎの時間が過ぎて行く。心地良いひとときであった。


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