2007アルプスへの旅
◆9日目(8月22日)晴れ 目次へ
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 4時、星が瞬いていた。ラッキー! 念願叶ったようだ。

◆念願叶ってトレチメへ!


朝日が顔を出す

 6時、カーテンを開けてみたら、外は霧。湖が見えない・・・
  しかし、上空は明るい青空。湖面を覆う一時的な朝霧であった。 遂に、今日はトレチメに行けるぞ。昨日までの憂鬱も吹き飛び、我ながら気持が高揚していることを自覚して嬉しく思う(写真左)。

 朝食時、JTBガイドが、バスの時刻表を借りて来てくれた。その親切に感謝する。Grand Hotel 前始発10:05で行くことにした。
 スーパーで往復切符を買い、既にスタンバイしていたバスに乗り込む。 そのうち、団体客も乗り込んできて、ほぼ満席。5分遅れて発車した。家内の横に座った年配の女性は、スタートすると同時に胸に十字を切りアメ玉をくれたらしいが、イタリア語での会話が出来ずに残念がっていた。十字とアメ玉に、どんな願いがあったのだろう。

 終点:アウロンツォ小屋前に着いたのは、10時35分。30分間のドライブだった(写真下)。自家用車もたくさん駐車していたが、窓から撮影も出来てバスで来たことをよかったと思う。ちなみに、通行料は自家用車が一台20ユーロ、バスは往復一人2.6ユーロであった。


アウロンツォ小屋を見上げる

 さすがに空気が冷たい。セーターを着込み手袋も付けて歩き出す。すぐ目の前の山は雲に隠れて形も定かではないが、トレチメの足元を歩いているのは間違いない。広く緩やかに傾斜する道を沢山の老若男女が、点々と列をなして歩く。第一の目標とする礼拝堂まで、およそ30分位かかった。


山の中腹に刻まれた道を行く人たち

 次の目標は、Lavaredo 小屋。巨大な山塊を左手に仰ぎ見乍らゆっくり歩く。頂上は雲に隠れて見えないが、山の中腹に刻まれた道を行く人たちがいた。あまりにも小さく見えるその姿は、逆に山の大きさを実感させるものとなった(写真上)。 左手に深く落ち込む谷も半分雲に覆われていたが、その雲の切れ間からミズリーナ湖の青い水面を覗き見ることが出来た(写真下)。壮大な景観に思わず溜息がこぼれる。小屋には20分位で到着出来た(写真下)。チオビタを飲んで一息つく。


雲の切れ間にミズリーナ湖が見えた

Lavaredo小屋に到着した

峠に向かって登る

 此処からの道を見上げると、峠に向って続く道を遠くまで見通すことができ、傾斜もきつくなっていることがわかった。しかし、折角此処まで来たのだから、もう一頑張り、せめて峠迄は行ってみようと話し合う。 登り道を行く人たちを見上げ乍ら、我々も焦らずゆっくり進んだ(写真左)。

 峠に出たとたん、突然展望が開けた。目の前には、いかにもドロミテらしい雄大な景観が在り、それは、はるかに想像を超えた眺めであった(写真下)。素直に感動する。しばし、息を継ぐのも忘れて見とれてしまった。此処まで登ってきて、ほんとによかった!と思う。

<↓画像をクリックすると別ウィンドウでパノラマ画像が開きます>

峠からの眺め(1)

峠からの眺め(2)


トレチメ
 峠に聳え立つトレチメの肩や頭を、左手の谷から押し上げられてきた雲が絶え間なく乗り越え吹き流しのようになって消えて行く(写真上)。その巨大な岩壁のすぐ下にもルートが刻まれていて、歩いて行く人、岩肌にタッチする人、記念の撮影をする人たちの姿が沢山見受けられた。

峠に立つ

◆写生に取り組む

 一応晴れてはいるが、雲の多い不安定な空模様である。のんびりはしておられない。峠を少しだけ下り、風の当らぬ斜面に腰を据え写生に取り組んだ。6号画面を両開きにして倍の大きさにしても、収まりきれない壮大さである。時間さえあれば、更に1枚付け足して横長の構図で描きたいと思う。ともあれ、昼食は後回しにして頑張った。

峠からの眺め(水彩画)

 日陰に座っての写生、しばらくすると寒さが身に応えて来た。ポットに入れて来た熱い湯に助けられて、サンドイッチをつまみ、バナナを食べる。眼下にLocatelli の小屋が見えていた。そちらに向う通り道に面して座っていたので、絵を覗きに来る人が後を絶たない。素朴な好奇心を抑え難く、親指を立てて意味不明のことを言い乍ら笑顔で立ち去る人たち。迷惑ではあるが不快ではない。小声でサンキュウ!を連発しながら仕事を急いだ。

◆途中で引き返す


Lavaredo小屋近くからの眺め

道沿いに咲いていた花

 Locatelliに行くのは取りやめ、アウロンツォに引き返すことにした。Lavaredo 小屋まで、ゆっくり下る。トレチメは、昼前よりもよく見えるようになっていた。緩やかな下り道が続く。礼拝堂近くで休憩(写真左、下)。


礼拝堂

 


Lavaredo小屋と岩山




  道沿いに咲いていた花  

 トレチメを仰ぎ見、コンパスを出してピッコラ・グランデ・オッチデンターレと山の名を確かめた。花の姿を探しながらのんびり歩いていたが、次第に厚い雲が増えてきた。人影の少なくなった道を少し急いだ(写真上、下)。


アウロンツォ小屋への道(水彩画)

 アウロンツォに着くと、登ってきたバスから降りて来る数名の人たちとすれ違った。その中の外人二人が、僕の顔を見て手を振った。思いがけない笑顔にびっくりしたが、ホテルの食堂で隣り合わせたイタリア人夫婦であった。元気になってほんとによかったと思う。アウロンツォ発16:00のバスの乗客は少なかった。


アウロンツォ小屋からの眺め

◆ロープウエイでパラダイスへ!


遊覧バス

 帰路は20分足らずでミズリーナ湖に到着した。湖を1周する遊覧バスが、クラクションを鳴らしてスタートするのを見送った(写真左)。空模様は今いちだが、まだホテルに引き上げるには早過ぎる。昨日、展望が良さそうだな、と思った対岸に在るCol de Vardaへのロープウエイに乗ってみたい。小屋の壁に「9分でパラダイスへ!」とイラスト入りで大きく書いてあったのを思い出したのだ。時刻は4時半。営業時間が心配だがまだ間に合うだろう。乗り場に急いだ。

 下り最終(17:45)を確かめて切符を買った。しかし、山頂の展望は、思っていた程のものではなくてがっかり。眼下に見える湖とホテルをカメラに収めて直ぐに下りてしまった(写真下)。昨日は見えなかったトレチメ、今日はまだ西日を受けて端然とした姿を見せている。急いで部屋に戻り、昨日描きかけのスケッチブックを開いた。


湖とホテル

◆今日の一日に乾杯!

 7時半〜。ミズリーナでの最後のディナーとなる。赤ワインをオーダー、家内はビール。今日は1日よく頑張った。充実した1日を過ごせたことを祝して乾杯。今夜も、新鮮な野菜をたくさん盛り合わせ、スープや焼き魚など、美味しく頂くことが出来た(写真下)。


今夜の料理

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