先ずは、フランツ・ヨーゼフス・ヘーエを目指す。ホテルを出ると直ぐに下り坂、昨日確認した分岐点を右に入ると、道は登りになった。セコンドギアとローギアを交互に使い分け乍ら快調に走る。4km位走った頃であろうか、突然、目の前にGrossglockner(3797m)
の勇姿が現れた(写真下)。オーストリアの最高峰で富士山より22m高い。やはり他を圧倒する姿であると思う。独立峰ではないが、白い頂きが青空に輝いて気品を感じさせ、なかなかの風格である。何度か路肩に車を停めてスケッチのポイントを検討しながら進んだ。しかし、谷間に湧いた雲が並走するように上に向って伸びていくので、ともかく氷河の見える再奥の展望台まで行ってみることにした。
Grossglockner(3797m) |
「ヘーエ」に到着した時、まだ観光客の姿は少なかった。青一色だった空に雲が浮び、山裾は雲に覆われつつあった。のんびりしてはいられない。建物の日陰に腰を据え、スケッチブックを拡げて写生に取り組んだ。ちなみに「ヘーエ」とは、ドイツ語で「高地」のこと。1856年、時の皇帝フランツ・ヨーゼフがこの地を尋ねたことを記念して命名されたという。
パステルツェ氷河 |
10時半、Grossglocknerは雲に包まれてしまった。Visitor Center を訪ね、天候の見通しを確かめる。P・Cの画面には、明日も明後日も雨マーク。カウンターのおじさんが、気の毒そうに鼻をこすった。
天候次第では、ヘーエから少し下ったグロックナーハウスへ泊ることを考えたのだが、これでは意味がなさそうである。残念だが、山岳道路とはお別れすることにした。
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