2007アルプスへの旅

◆18日目(8月31日)曇り

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 今日もう1泊するかどうか、朝の天気を見て決めることにしていた。昨日よりも良さそうだ。朝食が終わる頃には、青空が広がっていた。よし、今日は、オーバーグルグルを訪ねてみよう、そして、此処にもう1泊することにした。

◆エッツタールカード

 バス停に急いだら、昨夜食堂でディナーを摂っていたファミリーと一緒になった。話をしていて、初めてエッツタールカードなるものの存在を知る。このカードを持っていれば、エッツタール内でのバス、ロープウエイは乗り放題、大変割安になるのだと言う。エッツタールに到着した時点で購入していればなぁ!と悔しく思ったが、後の祭りである。バスに乗る前に時間の余裕があれば購入出来たのだが、それも無理であった。やむなく、ノーマル運賃を払って乗車する。

◆期待外れのオーバーグルグル

 前回、訪ねそこなったオーバーグルグルへは、30分足らずで到着した。案内所で遅ればせながらエッツタールカードを購入した。期待していたロープウエイは休止中とのこと、一番近いロープウエイの駅まで10分位歩く。利用客も少なく、最盛期が過ぎていることを実感する。

 ゴンドラリフトは、頂上近くまで伸びていた。しかし其処からの展望は、期待外れであった。確かにエッツタールの谷に並ぶ峰々を一望することは出来たものの、雲も多くて平凡(写真下)。


エッツタール谷

 国境に聳える山稜には雪と氷が貼付いているようなので、それがよく見えると思える尾根筋まで、とりあえず僕一人だけで先行する。危険度の高い斜面を緊張して登ったのに、これも期待外れ。長居は無用、下山することにした。

 しかし、頂き近辺を雲に覆われた下方に見える峰々を眺めていて思った。あの雲の上に立つ事が出来れば、魅力ある展望が得られるのではないか。案内地図を調べてみると、可能性のありそうな山にリフトが伸びていた。此処に居ても仕方がない。ダメモトを覚悟して、急いで移動する。

◆雲の上に立つ

 セルデン方向に下るバスに乗り、途中のロープウエイ駅で下車。お客はまばらであるがゴンドラは稼働していた。見上げると、白いゴンドラは次々と雲の中に消えて行く。オーバーグルグルで購入したエッツタールカードを使って搭乗。中間駅までは雲の中であったが、標高2500mを越える頃、ゴンドラは雲から抜け出した! 期待していた通り、山頂(3058m)には、素晴らしい展望が待っていた。

 崖の上にせり出して作られた展望台に立つと、足元の隙間から下界が見え、吹き上がって来る雲が顔を掠める。スリリングな眺めであった(写真下)。


崖に張り出した展望台

山頂から見下ろした展望台

 山頂に建てられた十字架まで、張られたロープを頼りに登る。360度、遮る物なしの展望を楽しんだ。ともあれ、アルプス3000メートルのピークを二人一緒に極めることが出来たのは、これが最初であり最後になるであろう。記念のツーショットを撮っておきたくなり、登って来た若い青年に頼んでシャッターを押してもらった(写真下)。

ロープを頼りに緊張して登る

山頂に立つ

山頂での記念撮影

◆ドロミテ遠望

 展望台に備え付けてあった周辺の山の案内図を見ていた家内が指差しながら嬉しそうに声をあげた。「見て!見て!ドロミテだよ!」それは、遥か彼方の山並みの一番奥にあり、うす青いヴェールに包まれて見える幾つかの山がそうであると言う。見納めだと思い別れを告げてきた山々に、こんな所で再会することになろうとは! カメラを向けてみたが、霞んだ画像しか得ることが出来なかった。
 雲は次第に量を増やし視界も悪くなる傾向なので、急ぎ写生に取り組んだ。気が付くと、周囲にいた人たちが消えていた。最終リフトに乗り遅れては大変である。取りあえず中間駅まで下りて一息つく。

◆初めて見る馬

 駅舎の横の草原には、放し飼いにされている馬がいた。白いたてがみが美しい。長くなりすぎたたてがみで、ほとんど前方が見えないのではないか、と思える馬。たてがみを振り乱し、いかにも気持良さそうに駆ける馬。こんな馬たちを見るのは初めてのことである(写真下)。

白いたてがみの馬

白いたてがみの馬
 日当たりの良い草原には、羊も気持良さそうに寛いでいた(写真下)。


 名残を惜しみ乍ら、ゴンドラに乗る。僕らだけを乗せたゴンドラから、セルデンの街並がみるみる大きくなってくる(写真下)。

ロープウェイ

セルデンで見かけたチロル風民家

◆明日はスイスへ

 ロープウエイ駅からホテル近くのバス停までは2区間の距離であった。時刻は、もうすぐ5時。観光案内所に寄って、明日の天気予報を調べた。此処に留まってみても、期待出来そうにないことが分かり、明日は、Appenzell へ移動することにした。


安らぎと風格を感じさせる室内の照明

 7時過ぎ、ディナー。それなりの品格を感じさせる食堂で(写真左、下)、オーストリアでの最後の料理をゆっくり楽しんだ。
 サラダ、スープ(コンソメはポレンタの団子入り)、メイン(チキン、鹿肉)、チョコレートのデザート(写真下)。


室内の照明は同じデザインで統一されていた

今夜の料理


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