◆15日目(8月28日)晴れ・曇り時々雨
◆インスブルックへ
7時、窓を開けると青空が広がっていたので、ホッとする。窓の下の草原に美形の猫が遊びにきた(写真左)。
小鳥もやって来て朝のさえずりを聞かせてくれた。すずめより一回り大きい。初めて見る野鳥で、名前は分からない(写真下)。
9時、出発。すんなりとアウトバーン(A13)入り口に着いた。赤いボタンを押してカードを取り、ゲートをくぐる。インスブルックまで85kmの標識を確認出来てひと安心である。
高速道路を走り出したら、雨が降り出した。制限速度は最高110km、流れに乗って走る(写真右)。車は少なく、どの車も概ね100キロ前後で走っているので緊張することもない。一般道に比べて安心して走れるし、利用料も低額(3.4ユーロ:540円)なのがうれしい。
ブレンナー峠近くで、トイレに寄りたい、と家内。国境という場所がら、サービスエリアがあるだろうと思っていたら、タイミングよく↓の表示が現れた。サービスエリアへの案内だろうと思い、矢印に従って本線を外れた。すぐに気付いたことだが、それは一般道への出口であった。仕方ないのでそのまま走る。事態は切迫している様子だったが、公衆トイレなどあるはずはない。ましてや隠れて用の足せる状況でもない。なす術もなく走り続ける。間もなくブレンナー駅の前を通過した。そうだ、駅のトイレを借りよう! 路肩に緊急停車。小雨の中、傘もささずに彼女は駅へ向って走った。危ういところであったらしい。
思いがけないことで、旧道とブレンナー駅に立寄ることになった。一度は訪ねてみたいと思っていた駅舎ではある。鉄道大好きの家内は、駅舎や駅前商店街を散策、往時の峠を偲ばせる雰囲気などは望むべくもないが、大きな果物店などをカメラに収めて満足そうであった(写真上・右・下)。
3km位走った所で、再度アウトバーンに乗る事が出来た。ヨーロッパ橋を通過する頃、天候が回復したのでホッとする。昨夜調べておいたインスブルック南出口でアウトバーンと別れ、レオポルド通りを直進する。街中の道路地図は昨夜しっかり脳裏に刻み込んでおいたので、1カ所進入禁止の為ルートの変更を余儀なくさせられたが、迷うこともなく走ることが出来た。我ながら、良く出来たぞ! と、内心ニンマリしていたら、最後の最後で無念な思いをさせられた。目的のハーツの営業所が、イメージに反して道の反対側であったことである。ともあれ、約束の時間までに無事到着出来てハッピー。少しの擦り傷も付けないで返すことが出来て満足である(写真下)。
◆旧市街を散策
12時、返却の手続きを済ませ、知人の紹介で予約済みのホテル・PENZに向う。ひどく暑い陽射しの中を、ザックを背に荷物を転がし乍ら歩く。凡そ10分。ホテルは旧市街に近く、観光には便利な場所にあった。 全面ガラス張りのモダンな外観であるが、ホテルの向かい側に建つ古く重厚は建築を映してうまく調和を取っている。見事である(写真右)。カウンターのお姉さんが、にこやかに歓迎してくれた。
写生を始めて暫く経った頃、酒に酔ってご機嫌な男が横に立ち、何かとうるさく話しかけてくるのには閉口した。親指を立て顔を上下に動かし乍ら大声でしゃべる。様子を見て誉めてくれているのだろうとは思うのだが、邪魔するな! とも言えず、往生した。昼間の酔っぱらいは、始末に負えない。
今夜のディナーは、持参のアルファー米に日本茶とリンゴ。これで充分である。無事に車を返した解放感もあり、バスタブで疲れを癒したあと、ゆっくりテレビを見乍ら寛いだ。