★2005・スイス(イタリア・ドイツ)の旅
◆4日目(7月16日)くもり 目次へ
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 今日は、ディアヴォレッツァに行くことにした。
◆日本人男性との出逢い
 9:04発のティラノ行きに乗車。駅のホームに、同じ位の年配と思われる日本人男性がいたので言葉を交わす。 約1ヵ月、テント暮らしを続け乍らひたすら山登りを楽しんでいると言う。 同じ電車に乗り、ディアヴォレッツァのロープウエイも一緒だった【写真下・2点】。 情報を交換し合ったりしているうちに仲良くなり、今日は、ほぼ1日中、彼と付き合うことになった【写真右】。 名前を永山さんと言う。
永山さんと
ロープウエイ駅
ディアヴォレッツァに向うゴンドラ
◆ディアヴォレッツァへ
 ロープウエイを降りると、天気はますます悪くなり、雨も降り出した。 レストランに入り,窓際の席で雨宿りをする。レストランは、以前と異なりセルフサービスになっており、 注文なしでも気楽にテーブルを使うことが出来て助かった。 地元の人々や日本人ツアー客も次々にやって来たが、暫くすると諦めて去って行く。 まだ、12時前だが、永山さんも同じテーブルで昼食にした。僕らはアルファ米。彼は手作りのサンドイッチであった。
◆つかの間の晴れ間
 しばらくして雨が上がり,空が明るくなった。青空も見えるようになり、眼前に聳えるベルニナ山群の白い山肌が、 こぼれ陽を受けて忙しく輝き始めた【写真下】。 家内をレストランに残し、見つけておいたポイントに移動、防寒服を着込み写生に取り組んだ。 永山さんも近くの山に登り、其処から歩いて下山するつもりだと言い,バンダナを締め直して出掛けて行った。 無事の下山を祈念し、別れの握手を交わした。天候が崩れなければ良いが、と懸念する。


ベルニナ山群


 好転したように思えた天候も不安定で、1時間もたたない内に又もや雲が厚くなり,視界が閉ざされてしまった。 幸い、何とか1枚は描かせてもらったので、良しとする。 ゆとりの出来た午後の時間を活用して、サン・モリッツにあるセガンティーニ美術館を訪ねることにした。 急いで、北村さんと出逢った思い出のベンチや、ベルニナ山をバックに「おかめ」の記念撮影を済ませた【写真右】。 うっかり電車の時刻チェックを失念して下りのロープウエイに乗ってしまったので、駅の待合室で50分近く待つことになってしまった。

 待合室で、ルック JTBの人たちと談笑していたら、そこへ永山さんが現れたのでびっくり。 歩いて下山するつもりでいたが、やはり天候が悪くなったので諦めた、とのこと。 サン・モリッツの湖畔にある彼のテント村に真っ直ぐ帰ると言われるので、再び、同じ電車でご一緒することになった。
ペルス氷河
ベルニナ(油彩 P8号)
◆セガンティーニ美術館へ
セガンティーニ美術館
 永山さんは絵の趣味はないと聞いていたのだが、セガンティーニ美術館へ誘ってみたら、 「これもご縁だから」と、喜んで受けてくれた。前回は上の道を辿ったが、今回は湖畔に沿った道を行ってみようと思った。 しかし、初めての道だから、何人もの人に聞き乍ら歩いた。 途中で雨に降られたり、結果的にはひどい遠回りをすることになってしまい、永山さんには大変申し訳ないことをしてしまった。 タクシーに乗るべきであったと後悔しきりである。

 美術館に上がる石段の下で、ザンクトガレンで見た「アルプスの真昼」を印刷したポスターを発見【写真右下】。 G・セガンティーニ財団から寄託された絵画,素描が加わり,一層充実した展示が見られることを知って喜ぶ。
 ザンクトガレンで観た名品が、かなり沢山展示されていた。 澄み切った空気、自然の中に人間と動物が見事に同化しているアルプス風景は、荘厳な美しさで迫ってくるものがあった。 2階に上がり,久しぶりに三部作と対面する【写真下・3点】。 今回は、その中の『死』の画面に、強く心を動かされたが、家内も同感だと言った。 昨日、セガンティーニ小屋へ登った後だったこともあり,殊更に感慨深く感じられたのであろう。

「アルプスの真昼」のポスター
「生」
「自然」
「死」
「明後日には“死”を描いたマロヤへ、その次には“生”を描いたソーリオへ、と、私たちの旅は続く。 シャフベルグの小屋で描いた“自然”は、小屋から見えた風景を忠実に描いたものではなく、 彼の心で捉えた風景だということがわかった。当然、他の二点も同じであろう。 今回、“死”に一番心を引かれたのは、自分が老いた為かも知れない。 青が基調だが決して暗くはなく、済んだ空気と、悲しみよりもむしろ“救い”を、大きく描かれた雲に感じた。」(家内の日記から)
◆美術館との別れを惜しむ
玄関横に建つ女性像

 6時過ぎ、さすがにひっそりしてきた美術館を退出。 もう訪ねて来る機会はないかもしれない・・・、去りがたい気持ちをもてあまし、 家内や「おかめ」の記念撮影をしたりして名残を惜しんだ【写真左】。 サンモリッツ湖をへだてた彼方にシャフベルグ山が聳え、その山頂にセガンティーニの小屋が小さく望めた。 「そんな位置関係を配慮しながら、この美術館は建てられたらしいよ」、と、セガンティーニに詳しい家内が言った。 林の中の小道を辿って駅に着いたら,丁度うまい具合にポントレジーナ行きのバスが来た。 今日は、失敗することなく、ホテル前のバス停で下車することができた。

 6時40分頃からディナー。美人おかみがやってきた。家内が、「今夜はいい」と言ったら、「ああ、よかった」とニッコリ。 TVでボクシングを楽しんだが、途中で寝てしまったようだ。今日も,疲れた。
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