7時少し前、マッターホルンのモルゲンロートが見られた。雲が現れ、刻々に変化しながら増えたり減ったり。ベッドに横になったまま、しばしの間見とれていた。今日の天候は、朝から不安定である。このまま雲が消えなければ、展望は望めないかもしれない。さて、今日は何処に行こうか、少し迷った。しかし、適当な量の雲は、絵には大切な要素でもある。とにかく、ゴルナグラートに行ってみることにした。
モルゲンロート |
ミシャベル山群に雲・・・ |
8:48発の電車に乗った。案の定、マッターホルンは雲に巻かれつつあり、ミシャベル山群にも大きな雲が取り付いていて、すっきりとは見えない。駅を降りると、真っすぐゴルナグラートの山頂を目指した。
ホテルへの坂道で、水彩画を路上に並べて売っている英国人画家に出逢った。もう何年も前から、この場所で商売をしていると言っていたが、彼と出逢ったのは初めてである。見れば、ブライトホルンの稜線を、鉛筆で丹念に写生していた。並べられた絵は、売り絵とは言え、構図もなかなかセンスが良いと思った。
モンテローザの上空でジェット機が交差した。 |
ブライトホルンを背にして |
上村さんを偲んで |
ホテルを通り過ぎて、ピークの展望台に立った。左手奥にモンテローザ、リスカム、ブライトホルンと並ぶパノラマは、いつもの様に光り輝いていた。右手遠方に、半分雲に隠されてマッターホルンの姿が在った。今回も、上村さんを追悼して1枚だけ写真を撮って合掌。しかし、もうあれから6年が経つ。この地に埋葬した骨は、きっと風に乗り何処か別の地に旅立ってしまったにちがいない、と思う。山頂の岩陰に、身を寄せ合うようにして小さな花が咲いていた。
サクシフラガ(ユキノシタ) |
|