★2004シャクナゲ満開・英国の旅
◆7日目(6月3日)曇り
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 今日は、世界遺産に登録されているバース歴史地区とストーンヘンジを見学し、典型的な英国の庭園を散策する。

◆ローマ浴場跡・見学


ローマ浴場

流れる温泉
 今日、最初に訪ねた街はバース(BATH)。観光の目玉は「ローマ浴場跡」である。18世紀の頃、ロンドンに近いこの街は、ロンドンの上流社会の金持たちが集まる保養地だったそうだ。そしてこの地にローマ時代の遺跡が発見されたことにより、観光の高級リゾート地として美しく発展してきたものらしい。従って、大きな街だし、観光スポットは沢山あるようであったが、我々はこの遺跡一つに絞って見学することになった。それなのに、見学時間は約1時間しか取れないと言う。ツアーの泣き所である。

 入り口で渡された携帯型レシーバが、分かり易くガイドしてくれるのだが、ゆっくり聞いている時間の余裕がなかった。沢山の見学者に押されるようにして、先ずは階上に上がる。そこから浴場全体を俯瞰することが出来た【写真左・上】
  約2000年前、進軍してきたローマ人が、この地に湧き出る温泉を発見、サウナ風呂まで備えた浴場を作った。一緒に神殿も造った。しかし、いつの頃か屋根が落ち,崩壊が進み、地下に眠ることになったらしい。発掘された石材の断片を繋いで当時の全体像を復元、その模型が展示されていた。神殿を飾っていたレリーフ【写真下・左】や彫像【写真下・右】も見る事が出来た。それらは、いかにも活力の溢れる作品であった。
  地下に降りると、足下を温泉が流れていた【写真左・下】。現在でも日に200万リットルも湧き出て、エイヴォン川に流れ出ているらしい。しかし、浴場の湯を近くで眺めたら、とてもきれいなお湯とは思えなかった。


破風のレリーフ

女神の彫像

 ちなみに。バースという街の名前は、そのまま「お風呂」の意味であり、ここから英語の(BATH)が生まれたそうだ。

◆世界遺産の街を見学

エイボォン川

バルトニー橋
  街の中心を流れるエイヴォン川と、其処に架かる由緒あるバルトニー橋が見える通りで強引に停車.3分間のカメラタイムを作ってもらった。曲面で落差を作った川床をしぶきをあげ乍ら流れるエイヴォン川【写真右・上】、ヴェッキオ橋を模して橋の両側に商店が作られたバルトニー橋、いずれも興味深い眺めであった【写真右・下】

 1世紀頃のローマ時代に繁栄したこの街が長い時を経て、18世紀になって再び貴族たちの社交場として華やかに甦ったのであるが、その街作りには建築家ジョン・ウッドの功績が大きいと言われている。彼は、この地方に産するバース・ストーンを使って、数々の優美な建築を造った。その代表的建築であるロイヤル・クレセント(フランス語でクロワッサン、日本語では三日月)を、短時間ではあったが近くから眺めることが出来た。
  弧を描いたようなそのテラスハウスは、広場に面して宮殿のように見えるデザインで造られていた【写真下】。30棟が並ぶ高級な集合住宅である。現在は、中央部分がホテルであり、向って右端の一部は博物館になっているらしい。博物館には、ジョージ王朝の家具などが展示されており、ホテルは名門、贅を尽くしたエレガントな雰囲気に旅行者の人気が高いそうだ。


ロイヤル・クレセント

 

◆ランドスケープガーデン(風景式庭園)

 はじめて耳にする言葉であったが、目で見て納得。それは、慣れ親しんできた日本の庭園と基本的には同じであり、その庭園を散策することで、英国を身近に感じることが出来たように思う。

 これは、18世紀イギリスで指向された『自然回帰』の運動の中で創り出されたものである。詩人ワーズワースもその提唱者の一人であったが、自然への憧憬を色濃くし、共存を目指して作り上げられてきたのが英国式庭園である。それらを代表する最も美しい庭園といわれているのが、これから訪ねる「スタウアヘッド庭園」である。

 最初に、その庭園の大きさに驚かされた。少しも構えた感じのしない入り口を進むと、大木に覆われ空が見えない程の木立の中を、緩やかに下る坂道が曲がりくねって続いていた。そして、突然開けた眼前には大きな池があり、水辺には大きなシャクナゲが咲いていて、その向こう岸に建つギリシャ神殿を思わせる白い建物が目に飛び込んで来た【写真下】。正に、理想的景観を目指したスケールの大きい庭園であった。


スタウアヘッド庭園

 小さな水鳥が遊ぶ中を白鳥が静かに割って進み、水面を優しく切り裂いていく。遠くに小さく子供のはしゃぐ声がした。近くの芝生に幼い赤子の兄弟が遊び、見れば乳児車の横には昼寝をしている母親の姿があった。すぐそばをあひるがお尻を振り振り通り過ぎていった【写真下】。何と言う平和な情景であろう。


平和な情景

 初日に出逢ったシャクナゲの花は、道中、いろいろな所に咲いていたが、丹誠されたこの庭に咲くシャクナゲは、正に絢爛豪華。圧倒的な美しさに魅了された【写真下】。メンバーの中に植物に詳しい先生がおられて、珍しい花の木があるのを教えてくださった。「ハンカチの木」と言う。大変珍しい木で、見上げると本当にハンカチのような白い花が風に揺れていた【写真下】。木そのものも珍しいが、花が咲くのに15年位かかるから、なかなか見ることは出来ないのだそうだ。


絢爛豪華なシャクナゲ


「ハンカチの木」

  木陰の下に陣取った老婦人が、小さなスケッチブックを膝に置き、片手で眼鏡を支え乍らどの部分を切り取って絵にしようかと思案中。すぐ近くには、連れ合いらしい整った身なりの老人が同じ携帯用の椅子に腰掛け、同じ小さなスケッチブックを開いて、静かに色つけを始めていた。平和な眺めである。心和むロマンティックな景観である。此処には、そんな穏やかな時間がゆっくりゆっくり流れていた。

◆ストーンヘンジ見学


ストーンヘイジ
 大学時代、美術史で勉強した。教科書の図版を示し乍ら、授業で教えたこともある。しかし、実際に見るのは初めであった。うねるように広がる広大な草原のまっただ中に、大小の巨石を丸く並べて、そのストーンヘンジが目の前に在った。今なお多くの謎に包まれているその構成された巨石群は、大自然の中に在って限りなく魅惑的であり感動的な景観であった【写真右】
  ストーンヘンジ見学には、此処でも携帯用レシーバが用意されていて、日本語で分かり易く解説してくれた。一周出来る見学用の道に幾つか見学用ポイントがあり、そこに示されている数字をレシーバに合わせると、解説が始まる仕組みであった。興味を引く話をたくさん聞くことが出来た。
  想像を絶する労力と時間と叡智を絞って建設されたそのストーンヘンジの目的は一体何であったのか。未だ定かではないらしいが、一般的には太陽崇拝に関係があると言われている。そして、この石組が天体観測の為のコンピューターとして活用されていたこと、周囲に火葬用の穴が沢山発見されたり、350もの墳墓が残されていること等から、霊的な古代の聖地であったのだろうとも言われている。いろんな研究成果を聞かされ、ますます魅力的な姿に見えてきた。もっと話を聞きたいと思ったが、一人のんびりしている訳にはいかなかった。

 この遺跡は、英国で最も重要とされている先史時代のもので、現存する遺跡は、約3600年前のものと推測されている。誰が,何の為に作ったものか、永遠の謎かもしれない。しかし、これからも多くの謎を抱えたまま現状のまま保存されていくことを願わずにはいられなかった。


ホテル
ジョリー・セントアーミンズ
 17時、バスは最終目的地であるロンドンに向って走りだした。今夜の宿は、ホテル・ジョリー・セントアーミンズ【写真左】。2連泊する。19時、無事チェックインした。

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