★2004シャクナゲ満開・英国の旅
◆6日目(6月2日)晴れ
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 今日は、コッツウォルズ地方の街を巡る。この地方は、英国人の原風景・理想とする風景が残る美しい丘陵地帯であり、“蜂蜜色の石造りの家並み”が魅力と言われている。幸いに天気は晴れ。玄関前に、黄色と白いバラが美しく咲いていた【写真下】


白いバラの花

黄色いバラの花

 

◆グロースター大聖堂


グロースター大聖堂

 最初に訪れた街はグロースター。先ずは,街のシンボルである大聖堂【写真左】を見学した。映画・ハリーポッターの舞台になったということで一躍脚光を浴びることになり、観光客が増えているそうだ。(帰国してすぐ、テレビ放映でその話題の映画を観る機会に恵まれたので、しっかり確かめた。映画に登場する回廊【写真右】は、間違いなく同じ回廊であった。)


ハリポタに登場した回廊



  回廊の奥まった場所に無数の人形らしきもの?が犇めいていたので一瞬驚いた【写真下】。全部が上を向いて、目を開け、何かを訴えているようである。作った人の心もさることながら、見る人により、その内容は様々であろう。沢山の人によって作られたらしいその生き物は、圧倒的な迫力をもって迫ってきた。聞いてみたら、現代アートの作品であるということだった。


現代アートの作品

ステンドグラス

 堂内は、美しいステンドグラス【写真右】を通過して来る光の照明でほのかに明るく、到る所に置かれている石棺や、静寂が支配する聖水杯のある礼拝所【写真下・左】など、荘厳な雰囲気に満ちていた。ロマネスク様式のレリーフ【写真下・中】が見る者を中世に誘い、祭壇に描かれた写実的なキリスト降架の図【写真下・右】は現代に生きていることを感じさせた。それは、大聖堂の長い歴史を物語るものでもある。大掛かりな外壁の修復作業が行われていたし、これからも歴史を刻み乍ら生き続けていくことであろう。


静謐な礼拝所

メーチェン家記念碑

キリスト降架の図

 

◆ボートン・オン・ザ・ウオーター


清流
 
 この街には、美しく澄んだ小川があり、川縁にはたくさんの家族連れが憩い、水鳥が泳ぎ、子供らが水と戯れていた。【写真左・上】 小川に架けられた橋は,当時のままの姿に違いない。手摺もない素朴な姿は、 いかにもこの川に相応しい佇まいであった【写真下】




石橋



散歩道


  潤いに満ちた遊歩道には緑影が多く、散策する人たちの姿はいかにも穏やかである【写真右】。小川に沿い、木立の向こうには“蜂蜜色の石造りの街並み”があった。そんな情景を観て、ここをコッツウォルズのベニスと呼ぶ人もいるそうだが、水深10センチの清流には残念乍ら行き交う舟影はない。

◆カッスル・クーム

 コッツウオルズ丘陵の南の端にある小さな村。「全国一古い街並みが保存されている村コンテスト」に何度も入賞しており、英国で最も美しい村と言われているそうだ。

マーケット・クロス

 駐車場から緑のトンネルをくぐり、しばらく坂道を下ったところに突然その村が現れた。中心部にあるマーケット・クロス【写真左】からほぼ200メートルの長さしかないメイン通りを歩いてみる。広くはない石畳の道の両サイドに、一段高くした歩道が付けられていた。歩道に沿ってこざっぱりと美しい石造りの家が、長屋のように繋がって並ぶ【写真下・左】。小さな窓に花飾りがあり、生活の匂いはするのだが、窓にも道にも村人の姿を見ることはなかった【写真下・右】。静寂に包まれた穏やかな佇まいであった。


石造りの長屋

蜂蜜色の石造りの家


可愛らしい建物


  通りを外れると、可愛らしい建物が点在していた【写真右】。すべて、ライムストーンと言われる石灰岩で造られており、時を経て蜂蜜色の優しい色合いを見せるようになったらしい。そうしたことが、一段と穏やかで心和む景観を作り出しているように思った。

 

◆バイブリーでアフタヌーンティー

 この街そのものは、さして魅力的ではなかった。この街はずれにあるマナーハウス訪問が、今日の大きな目玉であった。
 昔、貴族が住んでいた館を改装した超豪華ホテルとしても有名だそうだ。案内された部屋も超豪華。座り心地の良い肘付きソファーに身を沈めると、もうそれだけで超寛ぎ気分である。ぼんやりリラックス気分に浸っていたら、ティーとスコーンとサンドイッチが運ばれてきた。初めて体験する本格的なアフタヌーンティーである。

 スコーンのさくさく感は格別であった。それに添えられた話題のクロテッドクリームをスプーンに取ってみた。意外な硬さ、しかし柔らかい粘り。その風味は、今迄味わったことのない美味しさであった。それは、濃厚でありながらさっぱりとしていた。「世界広しと言えども、此処でないと味わえない逸品です」と添乗員。頷き、素直に聞いておく。

 上品な香りと味の紅茶を楽しみながら、改めて周囲を見渡した。
白いカーテンの揺れる窓の外には、サッカー場を思わせる広々としたグリーンがあり、クリケットに興じる若者たちの姿が小さく望めた。穏やかで静かな空間である。以前此処に住んでいた貴族たちは、毎日美しい衣装に身を飾り、平和で穏やかなアフタヌーンティーを楽しんでいたのだろう。さすが紅茶の国と言われるだけのことはある。その心をも豊かにする味わいの深さは、正に素晴らしい英国文化そのものと言えようか。
  「では、そろそろ・・・」と声を掛けられて、我に帰った。画像に記録しておくことなど、すっかり忘れていたことに気がついた。少なからず、感動していたということであろう。

 6時半、満ち足りた気分でホテルに帰る。駐車場には、赤いバラが午後の日差し照らされて、より赤く輝いて咲いていた【写真下】。今夜のディナーは、8時ということになった。


赤いバラの花

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