★2004シャクナゲ満開・英国の旅
◆2日目(5月29日)曇り時々小雨
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◆夜明けのシャクナゲ

 

 混乱している体内時計は、なかなか調整がつかず、夜中の1時に目覚めたまま夜明けの5時を迎えてしまった。
  カーテンを開けてみて分かった。少し雨が降ったらしい。街灯の灯りが、黒い路面に滲んで見えた。
  人影のない早朝の庭を散歩した。透明な肌色を感じさせるしゃくなげの花々が、潤ったグリーンに映えて新鮮であった【写真】。花の素顔は、曇り時の早朝が一番美しく見えると思う。さすが、シャクナゲ王国と言われるだけのことはある。スケールの大きい豪華な姿が気品を漂わせていて美しい。

 

◆エジンバラ城


エジンバラ城正面
   9時、バスに乗り込みホテルを後にする。小雨が降り出した。郊外の道は車も少なく,信号に停止されることもなく快調に走った。しかし、ワイパーは休むことなく、時に忙しく動いていた。程なくエジンバラ城に到着した時、雨脚は弱くなっていた。
  道路の一部も世界遺産に含まれると言う歴史地区。起源は6世紀頃迄さかのぼるそうだが、そうした歴史を感じさせる城の佇まいには威厳が感じられた【写真右】
  小雨にも拘らず、城の前の駐車場には大型バスが並び、観光客で賑わっていた。今もスコットランドの政治と文化の中心都市であり、街の象徴でもある城の人気は大変なものであるようだ。15分ほど待たされている内に雨も上がり、時々薄日も差すようになった。

宮殿
 落とし格子のある門をくぐって、城内に入った。石畳の坂道を上り詰めるとアーガイルの塔、聖マーガレット礼拝堂、宮殿【写真上】、グレート・ホール、戦没者記念堂、そして地下牢【写真下・左】など。街を見下ろす城壁には旧式の黒い大砲が砲口を城外に向けて並び【写真下・右】、ヨーロッパ最大と言われる巨大な包囲攻撃用の大砲モンズベッグも展示されていた【写真下・下】。ガイドの話によると、その巨大さ故のあまりの重さに、移動すること自体が困難で実際に使用されることはなかったそうだ。一門だけ新しい緑色の大砲があった。これは今も毎日13時の時を告げる為に使用されているらしい。何故、正午の12時ではなく13時なのか。答えは明快,一発で済むから。

地下牢

旧式の黒い大砲

大砲モンズベッグ

正装したバグパイプ奏者と
 宮殿(ロイアルアパートメント)内部の撮影は禁止されていたので、ここに記録することが出来ないのは残念であるが、一通りは見て回った。代々の王族が居住していた建物で、部屋には宝石で飾られた王冠や宝剣、当時の生活を説明する壁画、人形や展示物などが並べられていた。城内で一番古い建物である聖マーガレット礼拝堂も見てみたいと思ったが、丁度結婚式に使われていて果たせなかった。その代わり、正装したバグパイプ奏者と記念撮影をすることが出来て、家内は大喜びであった【写真左】
  先史時代には砦だったと言われる巨大な岩上に建つ石の城、王宮として使用されるようになったのは11世紀頃からであり、1633年を最後に王宮としては使われなくなったと言う。時代と共に戦の仕方が変り、城塞としての役割が終ったからであろう。第一、生活の場としては不便極まりないし、陰湿な暗い雰囲気も嫌われたのだとガイドが語っていた。

◆恥の寄せ集めの丘

 街のレストランで昼食を済ませ、エジンバラ市街が一望出来るというカールトンヒル(標高100メートル余りの丘陵公園)へ。北のアテネとも言われているそうだが、ここには三つのモニュメントが残されていた。その代表がアテネのパルテノン神殿と同じものを作ろうとしたが途中で資金不足になり、未完成のままになってしまったという代物【写真下・左】。これはナポレオン戦争で戦死したスコットランド兵を讃える為に作り始められた国家記念碑だったとの説もあるが、定かではないらしい。そしてネルソンの記念塔【写真下・右】と国立天文台。いずれも、直ぐに役に立たないものとなり、「今ではエジンバラの恥、恥の寄せ集めの丘とも言われておりまーす」、とガイドのおばさん。生憎,小雨が降り出したので、展望を楽しむことは出来なかった。


未完のパルテノン神殿

ネルソン記念塔

 

◆ロイアル・マイルを散策


ロイアル・マイル
 

2時間の自由時間、エジンバラのメインストリートのいわゆるロイアルマイル【写真左】を散策。城の城門から東に伸びる下り坂、この路面も世界遺産に登録されているそうだが、道に沿っていろいろな店が軒を連ね観光客で賑わっていた。
  街の中心に建つ聖ジャイルズ大聖堂【写真右】は、14世紀に再建されたゴシック建築。大きなステンドグラスが美しい。新しくデザインされたステンドグラスも違和感無く共存していた【写真下】


ジャイルズ大聖堂

 

新旧のステンドグラス

細い路地道(ADVOCATE’S CLOSE)

 土産店でショウガ入りのクッキーを買い、closeと呼ばれる細い路地道を覗いてみたり【写真右】、半額セール中というカシミヤ専門店を冷やかしながらの自由時間、のんびり散策を楽しんだ。

  通りで偶然、名物パブを見つけた。それは,小説「ジキル博士とハイド氏」のモデルとなった人物の名前が店の名前というパブである【写真左下】。残された時間が少なくて、中に入ることが出来ず残念であった。


名物パブ「Deacon Brodie's Tavern」

 

◆ナショナルギャラリー

 皆さんが公園を散策している時間を利用して、ナショナルギャラリーを訪ねてみる。限られた40分という短い時間しかないので、とても落ち着いて鑑賞出来るはずはないが、小雨の中をひたすら急いだ。作者・題名が定かではないが、躍動感溢れるバロック時代の大作の前でしばし時を忘れた【写真下】。少しの作品しか見ることは出来なかったが、一級のコレクションであることを実感した。機会があったら、ゆっくり訪れてみたいと思う。ロンドンの大英博物館も無料と聞いているが、この美術館も入場無料。他国には真似の出来ない文化政策であり、そのことを英国の人は誇りに思っているに違いない。素晴らしいことだと思う。


ヴェラスケス(?)の大作

 今夜の宿は、昨夜と同じ。バスは来た道を引き返し、ホテルではローストビーフのスペシャルディナーが待っていた。疲れた手足を湯舟に伸ばし、ゆっくり休む。今日は、よく歩いた。もはや、テレビをつける気力も残っていなかった。

 

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