ワーズワースの生家 |
ワーズワースのコテージ |
満開のシャクナゲ |
静かな湖畔を走り、グラスミアを訪ねた。此処で昼食。ウインダミアの北、グラスミア湖のほとりにある小さな街は、古い石造りの家が並び落ち着いた佇まいを見せていた。その一画に、詩人ウイリアム・ワーズワースの生家Dove Cottageがあった。彼は,イギリスロマン派を代表する詩人であり、日毎に増す自然破壊を憂い、自然保護に貢献した詩人としても有名である。代表的な詩として『水仙』が知られている。
家の中に入る時間はなかったので、その小さな家をカメラに収めた。その足で彼が終のすみかとして37年間暮らした家を訪問した。それはライダル・マウントという小高い丘の斜面に建っていた。広々とした庭にたつ木立の間からは、ライダル・ウオーターという小さな湖が見え、対岸の風景を一望することが出来た。
農家を買い取り改装した家は、厚い石壁と荒削りの太い柱で造られており素朴で質素。書斎兼応接間だけは高い天井になっていたので説明を聞いたら、この部屋だけは後になって増築したものという。壁面は、大作の油絵や書籍で埋め尽くされていた。それぞれの部屋にはアンティークな家具や書棚がとけ込み、静かで落ち着きのある空間を演出していた。歩けばきしむ音がする板張りの床や階段、低くて薄暗い部屋の中で、詩人ワーズワースはどのように過ごしていたのであろうか。窓から広がる景色は、緑の山並みが遠くに連なり眩しいほどに明るく見えた。庭には色とりどりの花が咲き、中でも満開のシャクナゲは見事な美しさであった【】。
この庭は、彼の理想とした庭造りを目指したものであるという。その理想とは、周囲の美しい自然環境と一体になることであった。この美意識と自然観が、「風景式庭園」を生み出し、イギリス独自の庭「イングリッシュ・ガーデン」として、広くヨーロッパにも広がり一世を風靡することになった訳だ。室内の撮影は禁止されていたから画像として記録出来なかったが、彼の生活空間に浸っていると、彼の日常が垣間見えてくるようであった。 |