昨日撤退した地点から第二の吊り橋までは、予想通りすぐ近くであった。第一の吊り橋に比べると短いな、と思った。近づいてみると、橋は断崖絶壁から対岸に向かって吊るされており、防護柵は作られているものの、崖に刻まれた細い道を行かねばならない。崖下には、昨日の雨で増水した氷河湖から流れ出る白濁した水が渦を巻き、ごうごうと唸りながら流れていた。高所恐怖症の家内ではあるが、かつてはアルプスやヒマラヤだって歩いてきたというプライドがある。彼女は意を決し、崖に身を寄せ、崖下が見えない様にして通過した。
その姿を望遠で見守りながら、彼女には風の音も水の唸りも聞こえていないだろうと思う。続いて橋を渡り始めた。左右の手を伸ばしてロープを握り、しっかりした足取りで渡って行った。橋は、第一の橋と同じで、堅固に作られていた。途中、強風が襲ってきたが、それ程の揺れはなかったようだ。
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