★ 2003 ニュージーランドの旅
◆17日目(1月31日)曇り・強風 前の日へ
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【本日の旅程】=フッカー谷(強風の為、途中で断念)

(◆マークの付いた写真をクリックすると拡大画像が見られます)

◆風台風

 昨日フロントで聞いた通りに、夜中2時頃、風が強まってくるのがわかった。吹き荒れる強風の音に何度も目覚める。6時過ぎ起床。カーテンを開けてみたら、雨は降っていなかった。7時過ぎ、風は台風並みの強さになった。レストランに出かけるのもためらわれる程の強風であったが、ミールクーポンを持って本館のコーヒーショップへ車で出かけた。
 ミールクーポンには、continental breakfast のメニューが印刷されている(トースト、クロワッサン、シリアル、果物、フルーツサラダ、ヨーグルト、コーヒー、ティー、ココア、ジュース)。
 コーヒーショップの席はまだ空いていて、山側の席でゆっくり食事をした。この強風では、何処にも行けない。Motel に帰って、持参のミステリ本を読む。家内は、ランドリーで洗濯したり、友人への便りを書いたりした。

◆強風のフッカー谷へ

 昼近くなって、風は幾分弱くなってきたように思えたので、とにかく行ける所まで行ってみることにした。ハーミテージのフロントに、日本人の職員がいたので聞いてみた。“強風だけど、問題ないだろう”と、言う。その言葉に勇気付けられ、地図をもらって出発。ケアポイント近くのキャンプ場(駐車場)まで車で行き、そこから歩くことにした。
 80号線との分岐点を左折、キャンプ場への道に入った途端、物凄い砂嵐に見舞われた。正面から吹き付ける砂塵に視界は奪われ、思わずブレーキをかける。沢山の小石がフロントガラスに当って乾いた音をたてた。
 風は強いが、寒くはない。キャンプ場の木陰に車を入れてランチにした。数台の車が駐車していたが、人影はない。今頃は、フッカー谷を歩いているのであろう。僕らも、歩き始めた。強風はのべつ吹くわけではないが、突然、思いがけない方向から襲い掛かってくるので油断出来なかった。帽子どころか身体ごと吹き飛ばされそうになり、何度も動けなくなった。場所によっては、小石も飛んできて目を開けることも出来ず、地面に手をつくこともしばしばであった。

◆強風に耐える花と蝶


◆一本目の吊り橋◆

 強風の合間を狙って、一本目の吊り橋を渡った【写真左】。雲の動きも早く、時々陽が差した。帽子を押さえ、下を向いて進んでいると、足元に、点々と赤い小粒の実があるのに気がついた。直径5ミリ程度の、宝石のように美しい実であった【写真右】

宝石のような実
谷間には黄色い花や白い花も咲いていた【写真下】。頭上を吹き荒ぶ風に身を震わせ乍ら耐えている姿は、健気であった。そんな草木の中に、難を避けて隠れている小さな蝶の姿を見つけた【写真下】。一つの羽が1センチ程の大きさしかなく、弱い風でも吹き飛ばされてしまうことであろう。こんな小さな蝶を見るのは初めてであった。

谷間に咲く花

谷間に咲く花


谷間に咲く花

谷間で一番小さい蝶

◆撤退

 強風は、一向に収まる気配はなく、それでも何人かの人たちとすれ違いながら谷を遡った。しかし、第二の吊り橋に近づいたあたりで断念することにした。風に逆らって歩くだけでも、相当なエネルギーを費やした。天候も良くならないし、無理して怪我をしてもつまらない。明日もあるではないか。出直すことにした。風に背中を押されるようにして谷を下った。

◆遭難碑

 谷の出口あたりの小高い丘に、遭難碑があったので立ち寄ってみた【写真右】
 パネルには「登山家とハーミテージの山岳ガイド二人が、1914年2月、Mt.Cookを下山の途中、氷河の上でなだれにのまれて遭難した。」と記されてあった。Mt.Cookはこの国を代表する名山である。世界中から沢山の山好きを集め、幾多の命を飲み込んでいることだろう。この遭難碑は、ハーミテージとMt.Cookを結ぶ直線上に建てられてあった。雲がなければ、この遭難碑の向こうには白いMt.Cookが見えるはずである。小雨がぱらつきだしたので、遭難碑を後にした。

◆遭難碑◆

◆ビジターセンター


初登頂に成功した
女性登山家
 

ビジターセンターにも立ち寄り、フッカー谷で撮影した蝶や花などを図鑑で調べた。小さな蝶は、この谷に生息する蝶の中で最も小さいものであることが分かった。展示室には、このあたりの動植物や登山の歴史などもあり、女性として初めてMt.Cook登頂に成功した登山家 Freda Du Faur(オーストラリア人)の実物大モデルもあった【写真左】。当時の写真も展示されており、彼女のスカート姿もそうだが、よくそのような服装と装備で、あの凍れるMt.Cookの登頂に成功したものだと、感心してしまった。ふと、掲示板に張り出されたadviceを見てみたら、「フッカー谷は、本日強風の為危険。お薦め出来ない」と書かれてあった。途中で断念したのは、正解だったようである。

宿に帰って、休息。早めの夕食を済ませて、少しTVを見た。夜になっても、激しい風と雨。何故だか、肩凝りがひどく、いささか疲れた。



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