★ 2002 花いっぱいスイスの旅
◆17日目(7月27日)  晴れ 目次へ
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【本日の旅程】=カッソンズ・圭子さん宅

(◆マークの付いた写真をクリックすると拡大画像が見られます)

◆気持の良い朝

 今日は、まずまずの天候のように思える。カッソンズに出掛けることにした。ウエイトレスのサンドラは、もう聞きもしないでティーを持ってくる。そしてもはや毎朝の習慣ででもあるかのように、水筒にお湯を入れて持ってきてくれる。おだやかな朝食の一時が心地よかった。

◆ホテルの3割引パス

 ピエールから勧められるままにリフト3割引きのパスを受け取り、8:40分頃ホテルを出発した。リフトの駅:Bergbahnまではバスで一駅の区間だし、気持ちの良い朝なので歩いて行く。チケット売場で半額旅行パスとホテルの3割引きのパスを見せた。英語の出来ないおばさんが、ダメだと言っていることは分かるのだが、何がどうダメなのか、どうすればいいのか分からない。英語の出来る若い女性が出てきて、半額旅行パスは使えないが、ホテルのパスを持って24番の所へ行けばリフトに乗れる、と言ってくれた。それでも、よく飲み込めなくてマゴマゴしていたら、彼女が一緒に連れていってくれた。24番とは、Foppaへのリフト乗り場のことであり、ホテルのパスを胸のポケットに入れて関所を通れば機械が読み取ってくれ、料金の支払いは、後刻3割引の料金をホテルで支払う、という仕組みであることが分った。何だ、そういうことだったのか・・・と、ようやく納得出来た。

◆カッソンズ再訪


◆リフトに乗って行く◆

◆カッソンズ山頂◆
◆山頂に雲が湧く◆

 既にリフトは動いていたが、客の姿はまばらである。Foppaで乗り継ぎ、Narausへ上がる。フリムスの山麓が拡がり、遥か彼方にカッソンズの山並が見えてきた【写真右・上】。眼下に杖を両手にして登ってくる人が見えた。その元気さタフさを羨ましく思う。Narausからゴンドラに乗り、見上げる山頂へ向かって急な斜面を一気に上がった。カッソンズには、やはり強い風が吹いていた。此所は標高2667メートル、360度遮るものの何もない山頂である【写真右・中】。強い風が結構冷たい。雲が多く快晴でないのが残念であるが、日溜まりの斜面に腰を下ろして写生に取りかかった【写真右・下】。一息入れてふと後ろを見たら、持てる衣類をすべて身につけザックを枕にスヤスヤ眠りこんでしまった家内の姿があった【写真下】。沢山の可憐な花々に囲まれてきっと素敵な夢を見ていることであろう。

 


花に囲まれて昼寝する

 

◆カッソンズからの眺め◆

◆雲上公園

 1枚描いたところで家内を起こし、山頂の遊歩道を歩く。どこまでも雄大な展望が続く。風当たりの少ない岩影を探し、展望を楽しみながら昼食にした(パン、バナナ、ジュース、白湯)。山頂を吹き渡る風は冷たいのだが、ハイカーたちは、薄着の人が多い。半袖に短パンの人がいる。3匹のプードルを連れた3人連れにも出会った。家族連れもいて、まるで雲上公園【写真右】のような趣きである。


◆山頂の遊歩道◆

 前回は、あまり見られなかった花だが、今回はいたるところに咲いていた。
 吃驚する程、沢山咲いていた。しかし、ここは風当りの強い山頂である。厳しい自然のもとに生きる為には背を低くせざるをえないのであろう。総じて小さく、大地にしっかりしがみつくようにして花咲かせていた【写真下】
雲が切れたので、また急いで1枚スケッチ。それでも雲ばかりの絵になり、今日の取材は打ち切ることにした。


山頂に咲いていた花

◆ピクニックを楽しむ


パラグライダー
 Narausでのんびりパラグライダーを見物した【写真左】。昨年は、この同じ場所で墜落事故がおき、救助ヘリが飛んできたことを思い出す。レストランでビールを1本。おつまみに持参した干し納豆がなかなかいける。レストランを出て振り返ってみたら、僕らの姿がガラスドアに映っていた。二人の画像は珍しいので、記念に撮影しておいた【写真右】。 リフトでFappaへ下ったが、此所は、特に見るべきものはないので、すぐFlimsへのリフトに乗り換えた。2年前と同じように、まだ陽は高く、アルプの緑、遠い山並の美しい眺め、爽やかな風が心地良かった。

初めてのツーショット

バスには乗らず、ホテルまで歩いて帰った。ベランダに出てみると、フリムスの雄大な眺めが拡がっており、しばし見とれてしまった【写真下】。夕食時間まで、描きかけのスケッチに筆を入れる。

◆雄大な山麓の眺め◆

 

 ホテルには圭子さんからのメッセージがあり、“メロンをタッパーに入れて部屋に届けてあるので、どうぞ召し上がれ”と。何という心優しい配慮であろうか。疲れた身体、甘く冷たいメロンがとても美味しく感じられた。夕食後、圭子さんの家を訪問することになっているので、急ぎシャワーを済ませておく。

◆圭子さん宅訪問

 約束通り、圭子さんが迎えにきてくれた。3人で歩いて彼女の家へ向かう。軽井沢風の静かな木立の中の道を行く。15分位歩いただろうか、大きなシャレーをいくつかのアパートに仕切った中の一つが彼女の住まいであった。

◆まるで美術館◆
   室内の壁には、カリジェを中心にした沢山の絵やリトグラフがもはやこれ以上は無理であろうと思われる程にビッシリ展示されており【写真右】、小さな置き物から焼物、日本の下駄なども、なげしの上まで綺麗に利用して上手に飾られていたのには、驚かされた。すばらしい作品や美しい置き物の数々を鑑賞するにはいささか照明が不足しているように思われたが、そのほうが安らぎの空間としては快適な明るさなのであろう。
 ハンスは息子と一緒にドイツでのカーレースを観戦に出掛けられたそうで留守、イタリアの赤ワインを御馳走になりながら【写真下】、カリジェや印象派の画集、中国の珍しい絵なども見せてもらい、しばらく歓談の時を過ごした。

◆食堂にも名画が多数◆

 

◆日本での老後は心配です・・・

 アメリカで国際結婚した彼女は、夫となったハンスと力を合わせ、さまざまな困難を乗りこえて、最終的には彼の故里でホテル経営に成功。スイス国籍も取得して、この地に永住することを決めているという。老後の病気のことなど、心配ではないかと聞いてみた。ところが、日本で老後を過ごすことの方が余程心配であるとの答えである。「どうして?」と更に聞いてみた。「スイスの医療は、患者を人間として大切に扱ってくれるから安心だけど、日本の大学病院などでは実験材料に使われるという心配がありますからね・・・」、と言ってにっこりされた。

◆フリムスで頼りになる人

 病気に限らず、旅先での思い掛けない事故は、旅人にとっては大きな心配の種である。ましてや言葉の壁があったり、制度や組織上の不案内の為にスムーズに事が運ばない場合が多々あると聞いている。そんな時、圭子さんがいてくれたらどんなに心強いことであろう。そんな話をしていたら、“何時でも力になりますよ”、と彼女。但し、1年の半分位は留守にしているそうだ。万一の場合、無駄を覚悟で相談の電話をしてみたらいかがであろう。圭子さんの許可を得て、彼女の自宅の電話番号とE-mailアドレスを下記に記して置く。

081(スイス)−9113310  E-mail - <k.haeusel@kns.ch


◆圭子さんに感謝

 9時半頃に暇を告げる。手作りのジャムやシロップをお土産に頂いた。バス通りが見えるあたりまで見送ってくれた圭子さん、日本人同士という親しみで、本当によくして頂いた。彼女には、改めて心から感謝する。

 明日はフリムスとお別れだが、早朝出発というわけでもないので、パッキングもせず、横になる。二人とも、「太田胃散」と「三光丸」服用。いささか、食べ過ぎ、飲み過ぎである。

 

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