このバスの始発はグリンデルワルドで、此所は2番目のpick up pointだったから、まだ数人しか乗っていなかった。そのうち日本人カップル2人、次のWilderswil,
Interlaken WestとOstなどで次々と客は増え、ほぼ満席となる。ドライバーは、老いたクリント・イーストウッドに似ており、英語とドイツ語で穏やかな調子でガイドしてくれた。
ブリエンツ湖のそばを通り、ロートホルンへ登る赤い電車が、ちらりと見えた。マイリンゲンを過ぎるとすぐに、ライヒェンバッハの滝も見えた。インナーキルヒェンで最後の客をピックアップすると、バスはスーステン峠へ登り始めた。
さほど時間はかからず、峠のレストラン前に到着。此所で、しばらく休憩である。レストランのトイレは有料、入り口に女性が座っており、日本語で“1フラン下さい”と請求された。日本人の姿は、ほんの少しなのに、何故だろう、と思う。
スーステン峠への登り |
登って来た道を振り返ってみて、いささか驚いた。過ぎてみると短い時間だったように思えたが、その道程はいかにも長い道だったことを見せつけてくれたからである。この峠道は、第2次大戦中に建設されたもので、東西にベルン州とウーリ州とを結んでいる。バスは更に登り続けた。しばらくすると右手に大きな氷河が現れた。氷に覆われたピークは、スーステンシュピッツ(2931m)である。道はつづら折りになり、ああ、高所にある峠を越えるんだなーということを実感。もう、昼近くになっていた。
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