★ 2001 パリ美術館訪問の旅
 ◆ 2日目(12月14日) 快晴 目次へ
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【本日の旅程】=パリ市内観光、ルーヴル美術館見学

 夜中1時、寒さで目覚めた。室温を調節するコントローラーを見つけたが、操作方法が不明。不親切である。やむを得ず、予備の毛布が1枚あるのを見つけてベットに重ねた。持参の下着も重ね着、更にフリースのベストも身に付けて寝ることにした。
3時、エアコンの影響で室内の湿度が低く、口内がカラカラになって目覚める。6時間前に使ったタオルが、早くも乾いていた。
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明け行くパリの街
 5時、再度、持参のミネラルウオーターを飲み、咽の乾きを潤す。
昨日出迎えたガイドが言っていた。「パリは急に冷え込み始め、明日も最高気温は1度前後になるでしょう」と。今朝の冷え込みは、零下の寒さになっているのであろうか。底冷えのする寒さである。くの字になって寝る。
 6時、室内の乾燥と寒さでなかなか眠ることができない。諦めて照明をつけ、ガイドブックに目を通す。
 8時。別館2階にあるレストランにて朝食をとる。ゆで玉子、野菜、パン、果物etc豊富な食べものが揃っており、満ち足りた気分になれて満足である。窓外は未だ暗く、街は眠りから醒めてはいない。夜明けは、8時45分頃だという。自室に戻り、次第に明け行く街を眺めた【写真】


◆ 観光バスで市内を一周する
 久しぶりのパリである。ともかく初日の今日は市内観光バスツアーをしてみることにした。
9時20分、ホテルを出発。正確な気温は分からないが、道行く人たちは皆白い息を吐きながらさっそうと歩いている。キリキリッとした身の引き締まる寒さであった。最寄りの地下鉄駅は、ホテルから歩いて10分余りであった。今日から、毎日利用する地下鉄(メトロ)である。窓口でさっそく回数券を買い求め、美術館のチケット『カルト・ミュゼ・モニュマン』も購入した。これは、パリ周辺に在る70余の美術館、博物館、史跡に入場できるパスであり、有効期間により、1日券、3日券、5日券の3種類があった。勿論、購入したのは5日券、価格は255F(フラン)であった。ちなみに、ルーブル美術館の入館料は49F(1000円)、オルセー美術館は45F(900円)である。

 10時半、メトロ:チュイルリー近くのリヴォリ営業所前から『パリ・ヴイジョン』(東京のはとバスのようなもの)に乗って、市内観光に出発した。バスは2階建ての大型であったが、乗客は僕らを入れて13人だけであった。展望の良い2階のシートに座る。カーナビと同じように衛星を使っての観光ガイドであった。バスが目的のポイントに近付くと、日本語での案内がイヤホーンから流れ出すという仕掛けである。ポイントとポイントの間は、適当に音楽が流れたりして、巧みにハイテクを生かしたガイドの仕方を工夫していた。ガイドが同乗しての市内観光と比較するとほぼ半額の料金であったのは、人件費を削減した分の効果であろう。
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4. ルーヴル美術館
 バスは、以下の順番で観光ポイントを案内してくれた。
営業所前からスタート→ヴァンドーム広場→オペラ座→右にルーヴル美術館【写真4】、左にオルセー美術館→カルーゼル庭園(カルーゼル凱旋門)【写真5】→コンコルド広場(観覧車)【写真6】→シャンゼリゼー大通り→ロンポアンシャンゼリゼ→凱旋門→エッフェル塔【写真7】→士官学校→アンヴァリッド【写真8】→ロダン美術館→グラン・パレ プチ・パレ→アレクサンドル三世橋を渡る→セーヌ川に沿って右にオルセー、左にルーブル美術館→右にポンヌフ→市庁舎広場→ポンピドゥセンター→マレ地区→サンポールサンルイ教会→バステイーユ広場→私立劇場→オーモンの館→サンスの館→サンルイ島を抜ける→右にノートルダム寺院【写真9】→パンテオン→リュクサンブール宮殿【写真10】→サン・シュルピス教会→サン・ジェルマン・デ・プレ教会→国立美術学校→ヴォルテール河岸通り→スタート地点。所要時間は丁度2時間であった。
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5. カルーゼル凱旋門
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6. コンコルド広場
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7. エッフェル塔
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8. アンヴァリッド
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9. ノートルダム寺院
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10. リュクサンブール宮殿


◆ ルーヴル美術館へ
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ガラスのピラミッド型入り口
 1時、近くに位置するルーヴル美術館まで歩いていく。約10分程度で、改装なったルーブル美術館の中庭に新設されたピラミッド型入口(1989年完成)前に着いた。まだ1時過ぎだと言うのに、早くも陽は大きく傾き、人の影が広場に長く伸びていた【写真】。なにしろ30万点ものコレクションを収蔵している世界最大級の美術館である。年間を通して世界中から集まる人たちで常に賑わい、特に玄関は集中して混雑するので、その出入り口の機能的な改修工事はどうしても必要なことであったに違いない。ピラミッド型の斬新なデザインが選ばれ発表された時は賛否両論、世界中の話題になったものである。
 寒空の下、入口には入場を待つ沢山の人が列を作っていた。僕らは、今朝購入したチケットのお陰でそんな人たちを尻目に優先入場をすることが出来た。ちょっといい気分であった。空港と同じように、入口で持ち物検査がレントゲン透視で行われ、エスカレーターで地階へと降ろされた。そこは広いフロアーになっており、そこから目的の展示会場へ通じる近いルートを3つの入口から選んで進めば良いように効率的な設計がなされていた。インフォメーションをはじめ、売店、トイレ、手荷物預り所、地下鉄に通じる地下街への出入口などなど、いわゆる多目的空間として充分広く明るく、効率も良く機能しているようであった。

 最初に近付いて見たのは、階段の踊り場に立つサモトラケのニケ像である。エーゲ海のサモトラケ島で発見されたヘレニズム彫刻の傑作である。遠くからその姿が視野に入ると、自分の意志とは関係なく引き寄せられるように歩いていた。夢と希望と勇気を与えてくれる彫像である。何度見ても素晴らしい。ついでギリシャ・ローマの彫刻群を鑑賞した。画学生の頃、石膏デッサンのモデルとして描かせてもらった何人もの偉人たちに再会した。「やあ!しばらくでした!」思わず声をかけたくなる程にとても懐かしい出会いであった。
 続く部屋は、4000年間に及ぶ古代エジプトの美術品・彫像群が年代別に並ぶ展示室であった。代表格は『書記座像』【写真12】である。膝の上に広げたパピルスが、社会的身分の高さ示しており、二段腹になっている姿がその裕福さを表している。ミイラと共に埋葬されていた王と王妃の彫像の何と人間味に溢れていることか!しかも気品に満ちているそれら彫像【写真13】に、改めて芸術作品としての素晴らしさを感じさせられてしまった。
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書記座像
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王と王妃の彫像


◆ 『モナリザ』 〜フラッシュ撮影、ほんとにOK?
 2時半、同じ階のリシュリュー翼にある食堂に行き、休憩を兼ねて腹拵えをした。本日のスープを注文、後は持参のパンで済ませたが、それで十分であった。
 ひと休みして、デゥノン翼に移動、フランス絵画の大作に圧倒される。中でもダヴィッドの代表作として有名な『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョセフィーヌの戴冠式』【写真】は、ほぼ3DKの部屋が納まる広さであるという。等身大の人物が100人以上も居並ぶ壮大な画面である。こんなに広い画面を仕上げていく為の集中力は、想像を絶するものだと思うし、その力量には、ただただ敬服するばかりである。それにしても、時の権力の大きさや強さを、見る人にジワッと押し付けるだけの迫力充分な画面であった。

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 『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョセフィーヌの戴冠式』
←部分:ジョセフィーヌ

 『モナリザ』はこちらという「→」に導かれて、イタリア絵画の数々を鑑賞しながら奥まった部屋まで行くと、世界的有名人『モナリザ』が待っていた。21年ぶりの再会であった。彼女の前には沢山の人だかりがしていた。驚いたことに、モナリザを背にして記念撮影をしている人たちが、堂々とフラッシュを光らせているではないか。警備の職員は、すぐ側にいても無関心の態度である。ほんとに許されていいのかな?と疑問に思う。警備員としては、注意しても次々にフラッシュ撮影をする人が余りに多いので、諦めてしまったのかもしれない。色彩を保護する為に、照明の明るさも極力押さえるというのが常識になっていると思っていただけに、選りにもよって『モナリザ』にフラッシュが浴びせられていようとは!「ほんとに、いいんですか?警備員さん!」確かめてみたい衝動に駆られた。言葉の壁で思いとどまったが、拍子抜けである。今まで遠慮してフラッシュ撮影を控えていたことが、残念に思われた。それにしても、さすがは超人気のモナリザである。つぎつぎと浴びせられるフラッシュにも優しい微笑を絶やすことはないようであった。
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エル・グレコ 『キリストの磔刑』

 一番奥の部屋は、スペイン絵画の部屋であった。中央に設置されている椅子に腰を下ろし、ムリリョのほのぼのと明るい天使や、グレコのきびしいキリスト像【写真】などを眺めているうちに、ずっしりと疲れていることを感じた。又、出直すことにして、今日の鑑賞はここまでにしておくことにした。売店に立ち寄り、図録を1冊買い求めた。

 5時半、ピラミッドの外は、冷たい夜のとばりに包まれていた【写真下】。コートの襟を立てマフラーで首をガードする。零下の寒さだろうと思う。最寄りの地下鉄入口はどこか?、若い通行人に尋ねたら、指さして、あのきれいな飾りがついている所だよ、と教えてくれた。歩いて3分の所にあった【写真下】。ちなみに、地下鉄(メトロ)の出入り口は、おおむね目立たない造りになっているのだが、此所の美しい出入口は格別である。地下鉄が作られた当初は、その出入口を街の美観に調和させようと芸術的に装飾したといわれている。此所は、最初に作られた路線だし街の中心だから、当時の姿を今に残しているのだろうと思った。

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夜景が美しいピラミッド型の出入り口
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美しい装飾の地下鉄の出入口→

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