長く続く断崖は、太陽の恵みを存分に享受出来る南に面した斜面である。目も眩むような厳しい斜面にも丹念に石を積み、段々に畑を作ってレモン、オレンジ、オリーブ、ブドウなどが栽培されていた。緩くなっている斜面には石造りの集落が在った。海岸から上に向って家は断崖にしがみつくように密集していた【写真上】。どんなに厳しい地理的条件であろうとも、此所で生き抜いていかねばならなかった人たちの根性と逞しさに脱帽する。見た眼には美しい景観であるが、南イタリアの貧しさを象徴している風景でもあると思った。今でこそイタリア屈指の景勝地として世界の観光客を呼び寄せてはいるが、この地に入植して来た当初の生活はどんなにか厳しいものであったことだろう。
途中、断崖に建つレストランで、昼食をとった。食堂からは180度美しいティレニア海の眺めが見渡せた。雲が切れ、時々青空が見えるようになっていた【写真下】。地中海ブルーとでもいいたくなような爽やかな美しいティレニア海の色を眺めながら、海鮮料理【写真下】を美味しくいただいた。 |