◆八塔公園
6:00~。 夜明けにはまだ1時間以上あると思われる。見上げる空に星を探したが、ひたすらに暗いだけである。
しかし、一縷の期待を胸に、ホテルを出発。昨日より梅里雪山により近いビューポイント:八塔公園に向った。
8基の白い塔があるのでこの名前が付いている。20分余りで公園に到着。薄明かりの中に白い塔が見えた。
2・3人影も見えたが、我々が1番乗りであったようだ。
7:00。次第に明るくなってきた。8基の白い塔が浮かびあがってきたが、その先は雲に隠されて何も見えない。
寒さに耐え乍らスタンバイ。時間が惜しいので、取りあえず近景を描き始めた。
白い塔を描き込んでいたら、画用紙の上に微かな音を立てて雪が降り始めた。
無念の思いでホテルへ引き返す。朝食後、昼までフリータイム。
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八塔公園 |
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◆市場見学
11:00~。雨の中、近くにある市場を覗きに出掛けた。
街には、僧院から買い出しに出掛けてきた僧侶たちの姿もあったが、人出は少なく静かであった
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ホテル前の通り |
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商店街 |
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買出ししている僧侶たち |
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小雨降る市場に客の姿は少ない |
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市場には、野菜、魚、鶏、鳩、肉、豚の頭、惣菜、果物、豆腐、お餅、玩具、文房具、お茶、乾物、衣料品までも、
多くはテント屋根の下でいろんな品が売られていた。それらは、ごくありふれた景観であるが、
小雨降る通路に血のついた牛の頭が置いてあるのを見てギクリとする。
その一つを、濡れた路上で捌いている男が居たのには驚いた。果たしてそれもこれも商品なのだろうか?
その男の手元を物欲しそうにじっと見つめる黒い犬。
いささか刺激的な光景であった。
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川魚 |
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サラダの計り売り |
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餌をついばむ鶏と裸にされた鶏 |
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子供が店番している八百屋 |
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こんな奥地に「餅」が! |
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微笑しているような豚たち |
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牛の頭を捌く男と見つめる犬 |
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鎖に繋がれた猫 |
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12:30~。近くのホテル、聖建大酒店内のレストランで昼食。
15:00。ホテル再出発。
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◆飛来寺
15:25~。突然、空を飛んでやって来た、という伝説が残るご本尊を祀るチベット仏教寺院。
創建されて、4・5百年の歴史があるらしい。此処から凡そ10キロ位の地点に、
梅里雪山の主峰‥カワカブ峰から流れ出る氷河を眼前に眺めることの出来る展望台があり、
人気のスポットになっているらしい。時間と体力があれば、行ってみたいと思った。
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飛来寺 |
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◆チベット族の農家訪問
15:50~。飛来寺のすぐ近くに住むチベット族農家の一つを訪問した。
彼らの総てではないらしいが、「一夫多妻」ならぬ、「一妻多夫」の婚姻形態を維持している家族がいると言う。
その農家を訪ねた。一階は物置きとか家畜が住む空間、2階が住居空間になっていた。
家の中央が吹き抜けになっており、其処から一階に降りる階段には鶏が居り水飲みの容器も置かれていた
。
その下の暗い空間に、牛が飼われていると言う。家畜と人間が同じ空気を共有し乍ら生活していることがうかがえた。
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吹き抜けの下は牛の部屋 |
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厨房も在る居間 |
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案内された部屋は、大きな部屋の壁全面がチベットの神々を祀る祭壇になっており、信仰の篤さを物語っていた。
その前に厨房セットがあり、長椅子が置いてあるコーナーは食堂兼応接間なのであろう。
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この家の主である女性が孫の面倒を見乍ら、地酒や素朴な菓子で我々を接待してくれた。
彼女には、二人の夫がおり、一人は放牧などで外が多く、一人は家族を守る為に生活を共にしているという。
女が裕福でなければ出来ないことだが、厳しい自然を生きぬいて行く為の逞しい婚姻形態として昔から公認されてきたらしい。
しかし、秘境の影が薄くなるにつれ、この形態も少なくなっていくことだろう。
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孫の面倒をみる家長 |
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◆牛小屋での恐怖体験
話を聞いている途中で、お腹が痛くなってきた。これは困ったことになった・・・と思案していたら、
側にいた家内が察知。急いでガイドに救助を求めた。
案内されたのは、吹き抜けになっている階段。「この階段を降りた所でドーゾ!」と言う。
暗くて何も見えないが、牛の部屋だと聞いていたので、「ほんとに此処でいいのか?」と確かめた。
ガイドは笑い乍ら「隅に行くと危険だから、中央で遠慮なくやってくれ!」と言う。仕方がない。
手摺のない階段を慎重に降りた。見上げると、見守っていたガイドが「其処でいい。
暗い方に行かないで其処がいい。遠慮いらないよ。大丈夫だから!」手を振り、笑顔を残して姿を消した。
改めて足元を眺めて見たら、糞まみれの藁が敷き詰められていた。それだけでも、余計に移動するのは危ないと思った。
ままよ、と開き直ってジッパーを降ろした。間もなく暗さに慣れてきた眼で用心深く周りを見回してみて驚いた。
何と、牛はすぐ近くに居た!全身真っ黒の彼らは、僕を取り囲むように何頭もうずくまっていた。
暗闇から目玉を光らせて僕の方をジッと見つめているではないか!すると、中の一頭が「モゥ?」と低く唸り声を出した。
もはや用を足すどころではない。恐怖とショックで便意なんぞは何処へやら、である。
大急ぎで階段を駆け上がった。びっくりしたなぁ、モウ!
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◆梅里雪山観景台
16:30~。再度、今朝と同じ八塔公園でスタンバイ。これが、3度目のトライである。
梅里雪山が見えることを心の底から願った。雲の合間にうっすらと、その一部が見え隠れしたが、
主峰の太子峰(6740m)は、一度も姿を見せることがなかった。
夕刻に近づくにつれて雲の動きが活発となり、青空も見えるようになった。
天候は、はっきり快方に向っているようだが、雲が消えるのは日没後になるだろう。
明日が最後のチャンスである。明朝こそは!期待を込めてホテルへ引き上げた。
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タルチョがはためく観景台 |
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タルチョがはためく観景台 |
19:30~。ホテル内レストランで夕食。
毎日、同じような中華料理ばかり・・・油が多い所為か、胃にもたれて来て、食が進まない・・・。
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