★晴ればれ・2004・スイスの旅
◆8日目(8月27日)晴れ
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 期待通り、快晴の朝を迎えた。食堂に行くと、早めの朝食が用意されていた。客は我々二人だけ。食堂には個性溢れる絵が並んでいたが【写真・下】、バスの時刻が気になってゆっくり鑑賞していることが出来なかった。東洋人の作品かと思ったが、地元在住の女性画家であるらしい。


画廊のような食堂


 チェックアウトして8:20発のポストバスに乗り込み【写真・下】、Le Chableへ。登って来る時は見えなかったが、今朝の展望は格別に素晴らしい。白銀の山々に見送られ、又、来てみたいと思った。


ポストバスでLe Chableへ

◆ Le Chable→サンブランシェエール→オルシェール(Orsieres)

 

サンブランシエール駅で

 バーナード犬が描かれている赤い電車とバス、定刻よりやや遅れて発車するが、乗継ぎに支障はなかった【写真・右】。サンブランシェエール駅で、峠までの往復切符を買った。オルシェール駅前から、電車と同じようなデザインのバスに乗り込む。途中、雪崩よけシェルターの中を走ったり、スリリングな箇所を走り抜けたりして、およそ1時間。峠には10:15、ほぼ定刻に到着した。

 

◆グラン・サン・ベルナール峠

 バスから降りると、冷たい空気が心地良かった。此処が峠の最高地点:グラン・サン・ベルナール峠(2469m)である。此処なんだぁ・・・と改めて周囲を眺めた。

 この峠道は、11世紀末:ローマに赴く巡礼に利用された歴史があり、悪天候に遭難する者があとをたたなかったと言われている。そして1800年には、ナポレオンが4万人の軍隊と3000頭の馬を引き連れて苦難の峠越えを果たし、闘いに勝利したという歴史ある峠として有名である。

 元ホスピスの裏手の丘からイタリア側を見下ろすと、眼下に美しい湖と、対岸に僧院が見えた。その背後には雪を乗せた鋭い岩山が在り、堂々たる風格を感じさせる景観である【写真・下】。早速、写生に取りかかった。湖を背にして、更にもう1枚描かせてもらった。


グラン・サン・ベルナール峠


足下に咲いていた花


  その間、博物館を訪ねて来たと言う家内が帰ってきた。興味深い展示や解説を丁寧に見学してきたらしい。日当たりと展望の良い丘に腰をおろし、彼女の話を聞き乍ら、持参のチキンサンド、チーズ、バナナ、ティで昼食にした。足下や周囲を眺めてみると、美しい高山植物がまだ咲いていた【写真・右】

◆セント・バーナード

 あの大型犬で有名な「セント・バーナード」は「サン・ベルナール」の英語読みでこの峠が出身地。その昔,峠越えの旅人が雪に埋もれて動けなくなったのを救助する為に、18世紀頃から峠の修道院で修道士たちによって飼われ始めた。彼らは、ピレネー山岳地帯の牧羊犬とニューファウンドランド産の寒さに強い犬とをかけ合わせ、特別の訓練を施し、山岳救助犬として育成するのに成功。救助の実績を積んできたが、現在では活躍の場がなくなり、観光用として飼われているだけだそうだ。入場料を払って見て来たというセント・バーナード、退屈を持て余している様子である【写真・下】


退屈なセントバーナード犬

歩いて国境を越えた


国境を越えてイタリア側へ


  この峠は、スイスとイタリアの国境になっている。いまでこそトンネルが出来たから簡単に行き来出来るようになったが、昔はこの峠を越えねばならず、冬期など、さぞや難渋したことであろう。そんな事を思い乍ら、歩いて国境を越え、イタリア側に行ってみた【写真・右】。スイス側の検問所には人影なく、イタリア側には制服の係官が二人居て、陽気に観光客を迎え入れていた。


聖ベルナールの像


  小高い岩の上に聖ベルナールの像が立っていた【写真・右】。9世紀、峠越えの旅人の為に、救護所を建てた司祭である。この司祭の名前にちなんで,この峠が『サン=ベルナール』と呼ばれるようになったらしい。10分位展望を楽しんで、再度国境を越えてスイス側へ【写真・左下】


国境を越えてスイス側へ

◆犬一色の峠


土産店もセントバーナード犬一色


  停留所のすぐ側に土産店があり、可愛いセントバーナード犬のぬいぐるみが、棚からこぼれんばかりに並べられている【写真・左】。手にしてみると、それぞれに表情が違う。可愛い子犬を探して、記念に1匹連れて帰ることにした。やって来たバスの横腹にも、犬の親子が描かれている【写真・右下】。此処は、セントバーナード犬一色である。4:50、峠に別れを告げた。


バスにもセントバーナード犬

 

◆マッターホルンの待つ街へ

 オルシェール→サンブランシエール→Martignyと乗継ぐ。
Martignyからの切符、Visp ←→Zermattの往復を含めてグリンデルワルドまで買おうとしたら,有効期間がそれぞれ1日だという。やむなくMartignyからZermattを片道にしてT/Cで払ったら,手数料を3フラン取られてしまった。 教訓、“切符はカードで買うべし”

16:48 Martigny発、17:33 Visp着。
17:38 Visp発、18:43 Zermatt着。
おなじみのコースだ。

 ライゼゲペックの荷物を受け取り、ホテル・パルナスへ。
橋の上で、快晴の空に聳え立つマッターホルンに挨拶をする。
おかみもにこやかに出迎えてくれて、約束の47室へ案内してくれた。

 ディナーのテーブルは、マッターホルンを望める窓際を用意してくれた。生ハムとメロン、生野菜サラダ、魚のソテーポテト添え【写真・下】、デザート(ケーキ)、それに赤ワイン(Gamay)を1本。久しぶりのディナーらしいディナーを楽しんでいると、マッターホルンが茜色に染まって美しい。ワインの味わいも一段と美味しく感じられた。


魚のソテーポテト添え

ライン


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