★ 2003 ニュージーランドの旅
◆12日目(1月26日)曇り、時々雨 前の日へ
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【本日の旅程】=ミラーレイク キーサミット→ダウトフルサウンド

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◆マナポウリへ

 今日は、9時10分までにはマナポウリの桟橋に着かなければならない。8時前に食堂に出向き、急いで朝食を済ませた。8時半に出発、マナポウリへ向かう。もう何回も走っている道だが、前方に見える山並みが今朝は今までになく美しく見えた。天候は、必ずしも良くはないのに。1度だけ、車を停めてカメラを構えたが、撮影ポイントを逃していることに気がついた。後戻りする時間はないので諦めた。
 9時少し前、桟橋に到着した。直ぐにチェックイン。ピクニックランチを受け取り、9時15分乗船【写真右・上】。一つのテーブルに6人。日本人は僕らだけかと思ったが、若い娘が一人だけいた。日曜日だからだろうか、結構沢山のお客が集まっていた。

 ダウトフルサウンドのクルーズが出発する地点(デイープコーブ桟橋)まで、先ずはマナポウリ湖を約1時間かけて縦断、West Armに着いたら、此所からバスに乗換え、峠を越えてデイープコーブ桟橋まで行くという。船は定刻に桟橋を離れた。天候は良くなる気配はなく、厚くたれ込めた雲がせっかくの景観を暗いものにしていて残念である【写真右・下】



マナポウリ桟橋

雨雲

◆峠を越えて


モスカーペット
 West Armには、地下水力発電所があり、見学場所になっていたが、見学は後にするらしく、船から降りると直ぐにバスに案内された。ガイドを兼ねる運転手は色々説明しながら山道を走行したが、よく聞き取ることが出来なかった。スペイ川が道の左側に流れ、世界遺産のブナの森林に覆われた山腹が川に迫る。特にこの地帯は、年間を通して雨量の多い地域なのだそうだ。右側の斜面にはコケが密生しており、ススキ、デイジー、シダ類の植物も肩を寄せあい、少しの山肌も見えない程である。コケ類には沢山の種類があるそうだが、途中でモスカーペットと呼ばれるコケが密生している場所でバスをおり、近くで眺め実際に触ってみた【写真左】。本当にやわらかい絨毯のようであった。ここまで育つのに何百年もの時間がかかっている、とガイドが話してくれた。
長さ365メートルというクリーグガース滝を見て、バスは間もなくウイルモット峠に到着。全員バスから降りて、眼下に見えるダウトフルサウンドの海面を眺めた。生憎の曇天であり、見晴らしは冴えなかったが、神秘的な眺めであった【写真下】

◆ダウトフルサウンド◆

◆ダウトフルサウンド・クルーズ

 デイープコーブ桟橋に待機していた船に乗り込み、いよいよダウトフルサウンドのクルーズが始まった。時計は、もうすぐ12時。席に落着いた乗客は、各々持参の弁当や箱入りランチを開けて昼食を始めた。僕らもピクニックランチを開けて一緒に食べた。天候は一向に良くならない。

 ダウトフルサウンドとは、「疑わしい入江」という意味である。かってイギリス人探検家キャップテン・クックが、この沿岸にさしかかった折り、複雑に入り込んだフイヨルドの姿を見て、船を進めるのをためらった。深い入江に入ってしまうと、再び外洋に出てこれるか疑わしいと思ったからだそうだ。地理的に一般の道路が通じていない為、観光的には未開の場所であり、神秘的で自然な姿を保っていると感じた。
 クルーズ船は、湖の様に静かな水面に長い航跡を残し乍ら、外洋に向かって高速で走った。舷側に立ち、その航跡を見ていてその色に奇異なものを感じた【写真右】。美しくないのである。泡立つ水は、薄茶色に近いものであった。後刻、パンフレットの解説を読んでその謎が解けた。
 山々に降った雨水が、その林床にあるタンニンという物質やその他の有機物を溶かし乍らフイヨルドに流れ込む訳だが、この水は海水よりも比重が軽いので、海水と融合することは殆どなく、水面に層を形成して流れているからなのだそうだ。


◆薄茶色の海水◆
 船長が「イルカが泳いでいる」とアナウンスした。乗客が一斉にその方角に目をこらす。船はエンジンを停めて、静かに近づいた。急いでカメラを構えたが、撮影するのは諦めた。確かに数頭のイルカが泳いでいたが、尾ひれを見せているだけであり、すぐに遠ざかって見えなくなったからである。
 外洋に近づくにつれて天候は悪くなり、とうとう雨が降りだしてしまった。船室に居てもつまらないので、雨具を着て甲板に立ってみたり舷側に出てみたり、カメラを懐にして、イルカの現れるの待ったがダメであった。気温も低く、すぐに体が冷えてしまう。イルカが姿をみせないのは、こんな、天候のせいだろうか、と恨めしく思えた。


◆Sealのcolony◆

 次第に海面がうねりを見せ始めた。もう外洋が近いせいなのであろう。船はゆっくりNee島に近づき、船長がアナウンスした。「この島にはSealのcolonyがあります」船首に立って眺めた。外洋に面しているその岩だらけの島には、繁殖の為に集まっているらしいseal(アザラシ)の姿をかなりたくさん見ることが出来た【写真左】。その先の小さな島にはペンギンがいると言っていたが、体長40センチの小さなペンギンは岩と保護色でもあり、岩陰に動く1羽をみとめただけであった。勿論、撮影することなど出来なかった。
 此所で船は方向転換。再び静かな暗緑色の海面に、白い航跡を残しながら高速で帰途についた。途中、イルカがたくさん泳いでいたり、ジャンプしたりする姿にも出会ったが、予測はできず、ほんの一瞬の出来ごとであり、これも撮影することが出来ないままに通り過ぎてしまった。しかし、この目で見た確かな映像として、網膜に焼きつけることが出来たことでよしとしよう。これで、約3時間のフイヨルドのクルーズは終了した。

◆地下水力発電所・見学


発電機
 デイープコーブ桟橋に待っていたバスに乗り込み、もと来た峠を越えてWest Armへ。雨と霧で見通しは悪く、往路にいくらかでも展望が出来たことをラッキーだったと思うしかない。
 バスは、Power Station (地下200メートル)へのトンネルを下った。黒部ダムのトンネルとは比較にならないが、荒削りのままのトンネルの壁を眺めていると、掘削の作業がどんなにか大変な難工事だったろうと思わせられた【写真下・左】。花崗岩を掘り下げた後、マナポウリ湖の水を垂直に落としてタービンを回転させ、そのエネルギーで発電する仕組みらしい。タービンは数台設置されており、回転している音が広い洞窟内に響いていた【写真左】。600分の1のスケールで作成された模型【写真下・右】や発電の仕組みを説明する展示板と一緒に、工事に命を捧げた15名の名前を刻んだパネルも掲げられていた。

荒削りのままのトンネル

地下水力発電所の模型

◆帰途につく

 トンネルを出て、再びWest Armへ。船に乗り込めば、一路マナポウリを目指すのみ【写真右】。5時20分、桟橋に帰り着いた。

 テアナウのVisitor Centre に立ち寄ったあと、スーパーValueで買物。今夜のデイナーのメニューは、ビーフサンドウイッチ、チーズ・りんごなどにキウイ・ハム・ラーメン、ゆで卵も加えて豪華なもの。ビールで乾杯した。
 10時を回って、外は雨。風も出て来たようだ。やはり、此所はフイヨルド国立公園の一部なのだ、と思う。


高速艇に乗り込む


ライン


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