突然、“今日は!”と日本語で声をかけられ吃驚する。TAMADAさん、福岡出身69才。一人旅を楽しんでおられる様子。今日は、スイスでの最終日とか。いろいろ話をしている内に、Gontenに下る予定を変更して、僕らと一緒にシュヴェークアルプへ下ることにしたいとおっしゃる。話の流れで、元同業者という親しみもあって、まあ、いいか、と同意した。
小柄でスリム。フィルスト〜シーニゲプラッテをコースタイムの半分の時間で踏破したことがあり、悪くてもコースタイムより遅くなったことはない、と脚力をさかんに自慢されるので、“ノロノロ下山では気の毒だ”、と言うと、たまにはゆっくり景色を楽しむことが出来ていい、と言われた。しかし、花との出会いがあっても、素敵な遠景があっても、特に関心も感動もない様子。一体この御仁、何を楽しみにして山歩きをされているのであろう?と不思議に思う。色々話を聞いてみたのだが、結局よく分からなかった。修行僧のごとく、只ひたすらに歩き、普通以上の体力があることを確かめるのが一番の目的なのだろうか。しかし、それだけのことであれば海外の山歩きをされる根拠としては薄すぎる。きっと、何か他にあるのであろう。 |