★ 2002 花いっぱいスイスの旅
◆10日目(7月20日) 目次へ
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【本日の旅程】=クライネシャイデック・グリンデルワルド

(◆マークの付いた写真をクリックすると拡大画像が見られます)


 今日は1日。ホテルのベランダに腰を据えてじっくり写生に取り組むことにした。家内は、一人気侭なハイキングを楽しんでくる、という。以下は、その日記である。



 昨日、観光案内所で見た予報が当った。マダムは午後は曇ってくるだろうと言う。Mは、しばらく迷ったが、1日制作に取り組むことに決めた。
9時頃、私一人で出発。まず、観光案内所に立ち寄り、マイリンゲンのホテルの情報をもらおうとした。パンフレットはないが、インターネットで調べてくれると言う。夕方に又来るから、と言ってゴンドラ駅へ向かった。

 


◆亡き友を偲んで◆

 メンリッヘンから歩き始める。先年、友の遺骨を埋めた辺りまで登り、ユングフラウを展望しながら記念の写真を撮った【写真右】。ウイーンから来たおばあさんと少しだけ一緒に歩いた。結構寒く、セーターを着る。三山はやはり見事な眺めだが、昨年と同じ時期なのに、何故かモヤがかかったようでclearでない。特に、昨年あれほど美しいと思ったヴェッターホルンやシュレックホルンの眺めが冴えないのでがっかりした。しかし、花は断然今年の方が美しい。山を眺め、花に目を近付けながら、ゆっくりとクライネシャイデックまでの道を歩いた。

 日本人グループが多い。2組の新婚カップルと話し、1組とは一緒に記念撮影。トリカブトの花を教えてもらって、写真に撮った。クライネシャイデックに近付いた頃、足の具合が悪くなった。今日は薄い靴下一枚で、靴はNew Balanceだ。疲れが出て来たのかもしれない。もうこれ以上歩くのはヤメにするしかないと思う。新田次郎の碑を見つけて、撮影した【写真下】


新田次郎石碑

 

 

 クライネシャイデックからヴェンゲン・アルプまで歩いて下るのは断念した。しかし、このままホテルへ帰る手はない。ヨッホを見上げると雲一つなく、もう一度行ってみようかとも考えたがワンサといる日本人の群れを思って二の足をふむ。空腹を抱えて、グリンデルワルドへ登山電車で下り、直ぐ接続しているバスでグローゼシャイデックへ往復しようと考えた。フィルストからグローセシャイデックまでは、下り1時間30分のハイキング、と案内にはあるが、この足では無理だ。せめてグローセシャイデックからフィルスト方面に少しだけ行って、アイガーがカミソリの刃のように見えるかどうか、そして、尾根がマイリンゲン方向への谷とグリンデルワルド方向への谷を分ける馬の背のようになっているかどうかを見てやろうと思った。

 クライネシャイデックからグリンデルワルドまで45分の電車に揺られながら、去年のIさんとの旅を懐かしく思い出していた。今日は、いささか元気がないし、暑いから無理することはないと思う。しかし、この風景を見るだけでもグリンデルワルド回りにした意味がある・・・などと考えた。車中でサンドウイッチをほおばり紅茶を飲んだら少し元気が出た。

 グリンデルワルドに着いてもまだ少し迷っていたが、ホテルリザヴェイションの小屋の隣に黄色いバスがいるのを見て、直ぐに決心がついた。往復切符を買い、グローセシャイデックに着いたら教えてくれるようにドライバーに頼む。東洋人の女で乗ったのは私一人だけ。タイムテーブルによれば約25分で峠に着く。切符を買う人が多く、発車はかなり遅れた。街中を抜け教会の脇を通って、バスはぐんぐん高度を上げた。ローゼンラウイ氷河の近くでは見物客が多いらしく、駐車場には自家用車が沢山並んでいた。バスの乗降客も多い。

 バスは、懐かしいホーンを鳴らしながら、蛇行する道をなおも高度を上げながら走った。アイガーがどんどん形を変え、岩の塊のような山ではなく、頂上は板のような形だということが分かった。ヴェッターホルンは、正に三角形の、こちらに被いかぶさる壁のような山になる。メンリッヘンからクライネシャイデックへのルートから見るのとは、全く違う無骨さである。やがて、バスはグローセシャイデックへ到着した。

 [→First]の道標を見て、少しだけ歩いてみた。確かに馬の背。花が咲き乱れ、風は心地よく、陽はサンサンと降り注ぐ。ハイカーも三々五々、楽しそうに行き来する。日本人は一人もいなかった。14:40分のバスでグリンデルワルドへ下ることに決め、それまでの少しの時間、峠のレストランの野外テラスでコーラを一杯飲んだ。トイレに行ったら大混雑!焦った。並んでいた女性達のJa,ja!の声援に力を得て、男性用トイレを借用、お陰でバスに間に合った。

 帰りのバスもほぼ満員。急げばグリンデルワルド15:20発の電車に乗ることが出来たが、30分遅らせて、観光案内所に寄った。グリムゼル峠越えのロマンティックルートバスのことを聞いたのだが、係の女性は全く別のパンフレットをくれた。Hotel Roseneggのことも聞いてみたが、そんなホテルは存在しない(実際には改築中らしかった)との返事。どうも、未熟者だったようだ。日本語観光案内所にも寄って同じ質問をしたところ、思いがけなく、三つの峠越えのツアーバスのパンフを入手することが出来た。時間的にも都合が良い。これに決めようと思う。スーパー入り口でバナナを買い、15:50発の電車に乗る。2度乗り換えて、ヴェンゲンに16:49着。観光案内所に寄って、マイリンゲンのホテル情報のことを尋ねると、今朝応対してくれた女性は忘れてしまっていたらしいが、ちゃんと立派な2001年版パンフレットを出してくれた。案内所の係にもいろいろな人がいるということだ。
 Mは何処にも出かけず、1日絵を描いていたそうだ【写真下】シャワーを浴び、洗濯をして、19時、夕食。今夜は客が少ない。

◆水彩画 ベランダからの眺め◆
◆ブライトホルン◆

 陽が沈んでもいい天気、ユングフラウの上空にかかる月が夢の様に美しい【写真下】。パッキングをして横になったが寝付かれず、何ヶ月ぶりかで、ハルシオン半錠を飲んだ。


◆ユングフラウにおぼろ月◆

 

 

 

 

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