駅周辺は、昨夜来の雪が積もっていて展望も殊更に美しく、電車から降り立った観光客の上ずった歓声が駅前広場に満ち溢れていた。僕の目指す写生地は、駅から少し下った地点である。下り始めの斜面は結構角度があって危険を伴うので、家内にはそのままゴルナーグラートのホテルまで行き、陽当たりの良いホテルのテラスでお茶でも飲みながら待っていてもらうことにした。
晴とはいえ、快晴ではない。すでにミシャベル山群にも雲が涌き立ち初めているではないか。急がねばならない。雪面を滑るように下りガードを潜る、その時丁度頭上を電車がゆっくり下って行った。しばらく写生に集中したが、心配は適中して、ミシャベル山群のピークは、次第に白い雲に被われていった。いささか恨めしく思いながら冷えてしまった手足を擦り道具を片付けた。
家内の待つホテルに辿り着いたら、時間は丁度12時であった。
持参したサンドイッチを食べ、友人のUさんが眠る岩近くにストックを立て、マッターホルンを背景にして記念の撮影をした。あれから、もう3年も経ってしまったんだなぁ・・・と、しみじみ思う。【3年前の旅はこちら】 近くに花はないので、家内が首からスカーフを外し、ストックに巻き付けた。
1昨日訪ねたモンテローザは、残念ながら雲に覆われて見ることが出来なかった。
友を偲んで
(マッターホルンは雲の中) |
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