★晴ればれ・2004・スイスの旅
◆3日目(8月22日)晴れ 目次へ
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◆夜明けの散歩

 たっぷり寝たので、暗い内に目が覚めた。カメラだけ持って静かにホテルを出た。未だ眠りから覚めぬ町に人影はなく、川沿いに歩いて橋の上に立った。正面に黒いエギーユ・デュ・ミディの鋭く黒い岩頭が青空に聳え【写真左下】、その右奥に白く大きなモン・ブランが並ぶ【写真右下】。朝日に輝く山頂目指して真っすぐ、音もなく白い線が伸びて行った【写真下中央】。今日は快晴。まことに気持ちの良い朝を迎えた。


エギーユ・デュ・ミディ

モンブラン

モンブランに向って

 

ラック・ブランへ

 7時、朝食。ブレヴァンとラック・ブランのどちらへ行くかで少し迷ったが、勇気を出してラック・ブランに行く事にした。9時のバスに乗車。ロープウエイでル・プラ→フレジェール[1894m]→アンデックス[2385m]。正面右手にモン・ブラン、左手に針峰群が望め、左右に広がる展望は圧倒的な迫力である【写真・下】。早速、防寒着を着込んで写生に取り組んだ。


モンブラン山群

 山の天気は変わり易い。1枚だけ描いて、ラック・ブランに向って出発した。指導標に従って右へ。歩きにくいガレ場があったり登り下りもあったが、ゆっくり歩く。まもなく、右下方向にフレジェールの駅舎が見えた。帰路は、そこから下るつもりである。

◆展望絶佳の山腹道

 

氷河の奥にグランドジョラス

 谷を隔てて居並ぶミデイ針峰群の眺め、大きく切れ込んだ谷にはメール・ド・グラス氷河がうねって見えた。そして、その奥にはグランドジョラスの威容が展望出来た【写真・左】。山腹道は、モン・ブランを背に南側の斜面を巻くようにして続く。しっかり整備された小道をのんびり歩いた【写真・右下】。小休止を繰り返し、こんな所にリンドウの花が!と驚き、岩陰に咲くホタルブクロを愛でたり、山並みの展望に見とれたりして時間を忘れていたようである【写真・左下】。爽やかで気持ちの良いアプローチであった。


気持ちよい山腹道を行く



岩陰に咲くヒメイトシャジン

シレネ・ブルガリス

 

◆懐かしのラック・ブラン


突如、ヘリ出現!
 
 最後の登りを頑張ったら、眼下にラック・ブランの眺めが在った。懐かしさがこみ上げた。快晴の日曜日と重なったからであろう、沢山の人出で賑わう湖畔を見下ろしていたら、突如足下から轟音が響き、赤いヘリコプターが姿を現した。事件か!?と、多くの人の注目を集めながら、すぐ近くの岩の上で静止した。ドアが開けられ、降り立った二人の女性は、岩の上に身を伏せた。ヘリは、すばやく轟音と共に谷間に消えた【写真・左】。追いかけるようにして、湖畔はもとの静寂に包まれた。観光客がチャーターしたもののようであったが、それは、あっと言う間の出来事であった。

 ラック・ブランを半周して、湖面を見下ろす高台に腰を降ろした。
湖の向こうには、ヴェルト針峰群、ドリュ、グランド・ジョラスが居並ぶ。正に壮観そのものである【写真・下】。しばし見とれた後、スケッチブックを広げた。2枚の画用紙を左右につなげて、描かせてもらった。



ラック・ブランからの眺め

一人下山を始める前に

 遅れてやって来た家内と展望を満喫しながら一緒に昼食。一休みすると、家内は、「ゆっくり慎重に下りたいから」と言って先に出発した【写真・右/下】。間違う道ではないが、やはり心配になってしまう。のんびり絵を描いている気分ではなくなったので、30分も経たない内に腰を上げた。


ヴェルト針峰を背にして


◆遠かった帰路


フレジュールの駅舎が見えた

 急な斜面を下り切ったあたりで彼女に追いついた【写真・下】。穏やかな天候が続いた所為か、うすく靄がかかってきたがまずまずの展望である。帰りは、およそ500メートル低い山腹道を辿り、且つ午後の光線を受けた山並みは、同じ景観ではあっても趣きを異にしていた。そんな眺めを楽しみ乍ら歩いていると、前方にフレジェールの駅舎が見えた(写真8.22-16-h.)。しかし、それからが、とても長い道程に感じられた。


実際は写真で見るより急な斜面

◆教会が西日に映えて


ベンチで一休み

  ル・プラまで帰り着いた時、さすがに疲れを感じた。バスを待つ間、爽やかな芝生に腰を下ろして一息ついた。家内はベンチに足を伸ばして休息をとった【写真・左】

西日に輝く村の教会
目の前に美しい花の植え込みがあり、その向こうに教会が在り、その背景にはドリュの鋭峰が聳え立っていた。教会の壁を傾きはじめた西日が明るく照らし、頭に薄いベールを被ったドリュの荘厳なまでの佇まい、それは、素晴らしく美しい景観であった【写真・右下】。座り直して写生に取り組んだ。

  時間通りにバスが来た。家内は、一足先にホテルに帰った。間もなく終バスの時間が迫り、西日も落ちた。道具を片付け、重い腰を上げてバスの到着を待った。

ライン


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