★ 2002 花いっぱいスイスの旅
◆14日目(7月24日) 晴れ 目次へ
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【本日の旅程】=移動

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◆時にはこんなホテルとの出会いもある

 いつもよりやや遅めの朝食。ポットにお湯を入れてもらったが、ウェイターはニコリともしない。9時少し前にチェックアウト。昨日フロントにいた男も極めて事務的に仕事をしただけ。チップを置く気になれず、そのままホテルを後にした。

◆再度スーステン峠を越えてアンデルマットへ

 9:10発のスーステン峠越えのポストバスに乗車。太った中年ドライバーは英語が話せず。しかし、Does this bus go to Andermatt directly? には、Ja!と答えてくれた。
 昨日、実踏は済んでいるのでフレッシュな感動はないが、いささかつまらないと感じたスーステン峠の先の氷河を改めて眺めて見ると、フルカ峠の氷河よりよほど立派ではないかと思った。
 Wassenを通り過ぎ、11時過ぎにアンデルマット着。此所で12:30の普通列車を待った。昨日の公園のベンチには先客あり、今日は肌寒いので陽当たりの良いベンチで一息ついた。

◆緊張が続いた初めてのルート

 乗車ホームを間違え、無駄な階段の昇り降りをしてしまったが、普通列車の為、座席は空いており、進行方向左右の車窓風景を楽しむことが出来た。しかし、今日は初めてのルートを行くため、昨日アンデルマット駅でもらった接続表を手に、通過する駅名を確かめながら緊張が続く。しかも、何故か列車は遅れていた。
 Disentisで、ホームにあるはずの出発時刻を示す黄色い時刻表が見当たらないので、他のホームへ行きかけた。時間が心配で出会った駅員に尋ねたら、何と同じホームの、今降りた列車の前に停まっているのが、目的の列車であると言う。“急げ!”とその駅員。間一髪であった。飛び乗るようにして乗車したら、音もなく動き始めた。すぐにやって来た駅員を見て驚いた。その駅員が、この列車の車掌だったのである。
時刻表によれば、イランツまで38分のはずなのに、その時間が過ぎても列車は停まらない。ひょっとして、通過してしまったか?と心配になる。隣の座席の娘に聞いたが分からない。ところが、後ろに座っていた人たちが、イランツは次の駅だと教えてくれた。ヤレヤレ・・・しかし、まだまだ緊張は続く。

 Laaxまでのバス便について、駅前の郵便局で尋ねてみたが、窓口のお兄さんはトンチンカンなことを言う。発車時刻が迫り、焦った。しかし、バスは1台しか停まっていない。行き先表示がSAGOGNとなっているが、フリムスまではダイレクトではなく、Laaxで乗り換えだということを思い出した。ドライバーに尋ねた。“Flims Dorf. Change at Laax?”英語は喋れないらしい彼は、両手の拳を糸を巻くようにぐるぐるまわし、“Change at Laax”と答えてくれた。安心してバスに乗る。一息付けた家内、隣席の女性と話がはずんだ。

◆爽やかな女性との出会い

女性は中型犬を従え、大きな地図を眺めていた。彼女もLaaxで乗り換えた。チューリッヒ在住、1年前に退職、愛犬を連れていろいろな所を旅しているらしい。
 WLF(wild life fund)の事業に参加して、インドネシアには行ったが、日本には行ったことがないとのこと。日焼けした肌は健康そのもの、英語もうまく実に感じの良いその女性は、Flims Dorfで降りる僕らに“Have a nice trip!”と、にこやかに別れの挨拶をし、バスと共に去って行った。大人しい愛犬と一緒に、きっと楽しい旅をすることだろう。爽やかな女性との出会いであった。

◆不思議な縁でホテル・ミラヴァルと出会う

 フリムスドルフのバス停から観光案内所まで、坂道をかなり戻った。まずホテルリストをもらう。窓口の女性は、出発前にE-mailで問い合わせをした時、応対してくれた人であり、そのことを覚えていてくれた。静かで眺めがよくあまり高くないホテル、という条件でrecommendを頼む。ホテルリストにいくつか印をつけてくれたが、案内所から一番近いHotel Curtzinに1室だけ空きがあるとのこと。案内所に荷物を預けて行ってみた。おじさんに部屋を案内してもらったら、眺めはさっぱりなので、断った。すると、山がよく見える別のホテルを紹介してあげると言う。さっさと電話で空きを確認すると、僕らを車に乗せ、案内所に置いた荷物を積み込んで、ドルフとWaldhausの中間に位置するHotel Miravalへ連れていってくれた。それは小高い丘の上に建っていた【写真下】。出迎えの女主人に引きあわすと、おじさんはさっさと帰って行った。

Hotel Miraval
 案内された2階の32号室からの眺めはフリムスを一望出来る広がりがあって気に入った。直ぐに手続きを済ませた。くもり空で時々雨が降る天候であったが、ベランダに腰を据えて写生に取り組んだ。

◆圭子さんとの運命的な出会い

 ここのホテルの夕食は6時半頃からという。食堂に降りてみると、結構泊まり客が多く、すでにメインを食べている人もいた。お互いに挨拶を交わし、なかなかいい雰囲気である。席に着くと首に赤いハンカチを巻いた太った大男のシェフが挨拶にやって来た。彼の話によると、このホテルのオーナーは日本人女性であり、今夜食事に来るはずである、と言う。
 丁度食事が始まった頃、小柄なそのオーナーがやってきた。年令は、僕らと同世代だろう。お互い自己紹介をした。彼女の名前は、「圭子さん」と言う。顔なじみの客が多く、いろんな人と挨拶を交わしながら、僕らのワイン選びを手伝ってくれた。マイエンフェルトの赤に決めたところで、彼女は姿を消した。

  ウエイトレスは、後でポルトガル人と分かったが、タイミングよくサービスをしてくれた。見ていると、回りの老人たちは、実によく食べる。でも、僕らには、いささか量が多すぎるように思った。
 食事を済ませ庭で花を眺めていたら、圭子さんが自宅の電話番号のメモを手にして現れた。一緒にもう一度レストランに戻る。そこで、改めて彼女の夫であるハンスと彼の妹を紹介された。少しも気取りがなく親しみを感じさせる人達であった。近付きになれたことを感謝して、絵葉書セットをプレゼントする。
 ホームページのことなども話し、フリムス紹介に協力すると約束した。彼女も喜び、コーヒーを御馳走してくれた。聞けば、彼女のお姉さんの家は僕らの住まいのすぐ近くであった。ますます親近感を持つ。思いも掛けない不思議な出会いがとても嬉しく感じられた夜であった。

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