クマリと呼ばれる生きた女神は地方にも沢山いるが、此所カトマンズのクマリが最も尊敬されており、現国王も敬意を払っている生き神様である。この館に半ば幽閉されているとも言える生き神様は、訪れてくる人たちにちょっとだけ3階の窓から顔を見せ、それを見た人たちには幸せがもたらされると言われている。3階の窓からこちらを見おろしている女性?が、写真撮影禁止を警告・監視し乍ら、クマリの顔見せを取り仕切っている。2年前にも此処に寄ってみたが、クマリは吃驚する程大きく育っていた。そろそろ引退だろうと思う。(初潮をみると交代しなくてはいけないのがしきたりである。ちなみに、引退した彼女たちは、望んでも結婚してくれる男性は現れないと言う。一緒になると男の寿命は短くなると信じられているからだ、とガイドが言った。)
メンバーは、それぞれに広場名物の露天バザールをひやかしたり、土産品の店を覗いたりした後、まとまってバスの待つ駐車場に引き返す。何人かの人は、路上で土産品を買い上げ、値引き交渉の成果を嬉しそうに話していた。これも、旅の楽しい思い出になることだろう。メンバーの一人に広場からずっと離れず、品物を売り付けようと最後の最後まで食い下がってバスまで付いてきた男がいた。意地になって断わり続けた人もその粘りに辟易していたが、とうとう目的を果たせなかった男は動き出したバスを鋭い目つきで睨みつけていた。余程くやしかったのであろう。バスで10分足らず、今夜の宿『ホテル・ダルバード』に到着した。規模も設備も中級程度のホテルであった。
◆ 民族舞踊を鑑賞しながら
夕食は、近くのレストランへ。ネパール各地の民族舞踊を、すぐ側で鑑賞しながらなかなか趣きのある食事を楽しんだ【写真下】。日本の懐石料理のように、餃子やカレー料理が次々に運ばれ、タイミング良くいろんな踊りが披露された。供された飲み放題のロキシー(ネパールの地酒)が気に入って、特別に分けてもらい持ち帰る方が何人もいたようだ。日本の焼酎、泡盛に良く似たお酒であった。それにしても、カトマンズの夜の観光ビジネスは、観光客の受けを狙う分、ネパール文化の個性を薄めつつあるのではないかと思った。 |