★ 2000 のんびり・スイスの旅
 ◆ 3日目(7月13日) 快晴 【全体地図】 目次へ
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【本日の旅程】=ツェルマット(泊)→ゴルナーグラート往復・写生

◆ 夜明けのマッターホルン
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 5時半起床。すこぶる寒い。ベランダに出て夜明けを待つ。持ち合わせのシャツや上着を全て着込んでみたが、まだ寒かった。
 青く沈んだ雲一つない空に白いマッターホルンがすっきした姿を見せている。朝日がピークを赤く染め始めたら【写真左】、そこから静かに雲が湧き出して、右から左へゆるく弧を描きながら流れては消え、流れては消え。同じようなパターンをくり返すのだが、その雲の作る構図の面白さに見とれてしまう。光は淡いピンクになり、それも瞬く間に消えてしまうと彼女は高貴に輝く白となる【写真右】。冷えきってしまった体に気付いて時計を見たら、一時間くらいが過ぎていた。


◆ ゴルナーグラート <Gornergrat> へ行く
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 今日は快晴。ゴルナーグラート に行くことにした。食事を済ませて8時、ホテルを出た。途中、パン屋に寄って昼食を用意し、川沿いの道を駅に向う。古い家並みが保存されている細い路地を覗いてみたら、丁度朝日を受けてセピア色の板壁が美しく輝いていた【写真左2枚】。ここは、昔のツェルマットの風情が味わえる情緒満点の裏通りである。しばし、道草をくってしまう。
 9時頃、登山鉄道駅には多くの人たちが列を作っていた。皆、溌溂としており華やいだ雰囲気が気持ち良い。終点のゴルナーグラートまで40分位だが、今日は格別の天候である。森林限界のリッフェルアルプあたりを過ぎる頃、白いマッターホルンが視界に飛び込んでくる【写真下左】。「ホーッ!」声にならない感動が車内に満ちた。終点近くからミシャベル山群 <Mischabel>【写真下右】も美しく展望出来て、時間の経過を忘れていたようだ。
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リッフェルアルプ付近からの
マッターホルン
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ミシャベル山群
(中央やや左が最高峰のドーム<Dom 4545m>)

<ツェルマットと周囲の山々>


<ツェルマット〜ゴルナーグラート拡大図>


写真をクリックすると拡大画像が見られます ◆ 友の冥福を祈る
 一昨年のことになるが、急逝した友人の遺骨を胸に、遺族の了承を得て一緒にスイス国内を旅行した。葬儀は出発の前日であったから、まだ熱のこもる骨壷から小さなビンに分骨してもらったのだが、しばらくは温もりが消えなかった。ほぼ一ヶ月共に旅を続け、国内13箇所の展望の良い場所を選んで埋葬した。あの日から早2年の歳月が経ったなんて、信じられない思いである。ここゴルナーグラート山頂もその内の一つである。昨年に続いて今年も此処にやって来た。日本式にお線香を焚いたり花束を供える訳にはいかないので、埋葬した場所にストックを立て、家内共々静かに友の冥福を祈った。


◆ 赤いベンチ
 多くの観光客で賑わう山頂は、早々に退散。登山鉄道を途中下車しながらのんびり取材をする。草原に寛ぎ、持参のパンとジュースで昼食、オニギリがなくても満足である。ほとんど人の通らない場所にも備えて在る赤いベンチが嬉しい。深い谷から吹き上げてくる涼風を気持ち良く感じ乍ら、ゆったり腰掛けて山のスケッチに取り組んだ。【油彩画の完成作品はこちら】
 今夜の食堂は、老人3人と僕ら2人だけであった。テーブルは並べかえられてあり、落ち着いた雰囲気で食事をする事が出来たのだが、静かすぎるのも又何となく淋しいものである。ともあれ、今日1日の満足すべき収穫に乾杯した。

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