前回も満足だった朝食、今回もゆで卵が付いていたりして充実した内容であった。
食後、ケルンに電話。友人の在宅を確認出来て一安心した。
COOPで買物を済ませたあと、カメラだけ持って2時間ほど散策。
天候の回復は望めず、収穫も無し。家内と約束した12時にホテルへ帰り、昼食。少しだけ昼寝をした。
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◆霧雨の中のトレッキングへ
何も見えないのは承知の上で、フィルストからグローセシャイデックまで歩いてみることにした。
花は綺麗に見えるに違いない。
ロープウエイの乗り場は、ガラ空き。片道切符を買って乗り込む。
中間駅のBortに着く頃から霧の中、何も見えない。
フィルストに着いたのは3時頃、雨が降り始めた。
レインスーツを着て、小雨の降るトレイルをグローセシャイデックに向って歩き始めた。
風もなく霧雨とも言える優しい雨なので、歩くのに支障はない。すぐに、見事なお花畑が現れ.思わず歓声をあげる。
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霧の中を行くロープウエイ |
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◆水滴に飾られた花々
霧雨の中の花は、青空の下でみせる美しさとは違って、格別の趣きがある。
花ビラや葉に付いたビーズ玉のような水滴が、花全体を美しく飾っていて華麗である。
細く長い草の葉が、鈴なりになって並ぶ小さな水滴の重さに懸命に耐えている姿もいじらしい。
そんな草むらの中に、個性的で色鮮やかな花々がはっとするほど美しく咲いている様は、
いくら見ていても飽きることがない。
お花畑は、場所によって咲き競う花の種類が異なっていた。
白いワタスゲやマンテマの群落があったり、黄色いキク科の花だけが咲く草原もあった。
ピンクのシャジクソウや薄紫のタマシャジンと一緒に黄色いゴマニハグサが咲いていたりして、
そのカラフルな配色の美しさには、思わず溜息が出てしまう。
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山道に咲いていた花 |
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◆霧に道を見失う
ほとんど視界がきかず、山も全く見えず、ただ花の美しさに心を奪われながらのウオーキングとなったが、
この道は、逆コースだが昨年も歩いている。木彫のマーモット像が雨の中に変らず立っていた。
韓国人の母子に教えられてブルーベリーを摘んだあたりも通り過ぎた。
不安を感じることはなかったが、だんだん時間が気になってきた頃、何処で標識を見落としてしまったのだろうか、
ルートを外れて車道へ降りてしまった。雨は止んだが相変わらず霧は深く、方角を確かめることが出来ない。
近くにあった小屋の壁にグローセシャイデックへの矢印を見つけた。所要時間は分からないが、それに従って歩くしかない。
終バスに乗り遅れたら悲劇だな・・・初めての道でもあり不安を感じながら歩みを早めた。
そんな時、霧の中から赤いバンが現れた。運転していた若者に尋ねると、グローセシャイデックは、
10分先だと教えてくれた。外国人の10分は当てにはならん・・・そんな思いで歩いていたら、
見覚えのある場所に辿りついた。それは、バス停前の峠にある丘であった。
時計を見たら、丁度10分が経過していた。
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マーモット棲息地 |
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◆最終バス
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終バス |
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まもなく最終となるバスが現れた。見ると、一人の乗客も乗っていない。
何だか、我ら二人を迎えに来てくれたみたいな気がしてしまう。
ドライバーは“20分”(経ったら出るよ)と言って、峠のレストランに消えた。
ヤレヤレ、助かった!レストラン横のベンチに腰を降ろして一息ついた。
薄れてきた霧の中に、ザックを背負った青年の後姿が見えた。やがて、もう一人の青年が、霧の中から現れて二人は抱き合った。
再会を喜んでいるらしい。最終バスに間に合うようこの峠で落ち合う約束をしていたのだろう。
近くに来た二人の声は大きく、靴は泥まみれであった。他にもう一人客が現れた。
見ると、アドルフヒットラーによく似た中年男であった。客は、我々だけではなかった。
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18:20の発車直前、嘘のように霧が消えてグリンデルワルドの村が遠くに望めた。
ヴェッターホルンも少しだけ姿を見せた。つづら折りの道を下るにつれて、
グリンデルワルドの村全体も見る事が出来た。
雨の中を、はるばると此処迄やって来た我らに対しての、ささやかなご褒美だったのかもしれない。
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グリンデルワルドが見えた |
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駅に立ち寄り、明日のマインツまでの接続を確かめ、切符を購入した。7時を過ぎたが、相変わらずの曇り空。
缶ビールを開け、持参の食材でディナー。
(アルファー米の赤飯、ゆで卵、煮干し、トマト、みそ汁、グリンティー)
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