◆教え子と行く三人旅
今回、同伴することにした教え子の遺骨は、フィルムケースに収め、それを白い布袋で包み、紫の紐でしっかり口を閉じた。
常に胸ポケットに入れて移動出来るようにしておけば喜んでくれるだろう、と思ったのである。
この教え子は、僕が最初に担任したクラスの女子生徒であり、クラスのリーダーの一人でもあった。
いつも笑顔を絶やさずによく友達の面倒をみていたので、いつの頃からか「おかめ」と言う愛称で呼ばれるようになった。
以来、僕も「おかめ」と呼び、40年余の絆を大切にしてきたのである。早過ぎた旅立ちは、惜しまれてならない。
彼女の冥福を祈りながら、この日記の中では「おかめ」と記すことにしたい。ニコニコ顔で許してくれると確信する。
日暮里:10時05分発のスカイライナーに乗車、成田空港に向う。
10時59分、空港第二ビル着。出発ロビーは空いていた。
チェックインの際、折角バックに括り付けてきた2本のスティックを取り外して、預ける荷物を3個にしてくれと言う。
以前、3個にしたら、到着空港でスティックだけが別の場所に運ばれて困ったことがある。やむを得ない。
トラブルのないことを願い、指示に従う。
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「おかめ」の遺骨を収めた袋 |
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◆ラッキー
機は、30分遅れて離陸した。古いタイプで、座席のピッチも狭くてガッカリしたが、幸いにもガラ空き。
僕は4席、家内は3席独占して横になることが出来た。こんな幸運、めったにあるものではない。
11時間余りのフライト時間、半分は寝て過ごした。
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JAL417便 |
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◆懐かしのミラノ駅
機は、予定の時間にミラノのマルペンサ空港に無事着陸した。
入国審査は、窓口が1つだけなので長蛇の列となったが、間もなく、窓口は2つになり、さらに3つに増えて流れが良くなった。
シティーセンター行きのバスに乗り込む。約1時間で、中央駅前に到着した。
3年前には、芝田さん夫妻に案内されながら歩いた駅前であるが、見覚えのある建物があると言うだけで、安心感が大きい。
懐かしい思いで駅舎を眺め、予約しておいたホテルを探した。予想に反して直ぐに見つけることが出来ず、
通りがかりのおじさんに助けでもらうことになった。駅から徒歩5分、分かってみれば簡単。
目指すホテルは、駅から真っ直ぐの通りに面して建っていた。3ッ星らしいが、定かではない。
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◆下見
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駅舎とホーム |
チェックインを済ませ、明日の移動に備えて中央駅まで下見に出掛けた。
芝田さんと一緒に行った切符売り場でティラノ迄の乗車券を買い、タイムテーブルをチェック、
出発ホームも確かめておく。
時刻は、午後8時半。未だ、外は明るい。駅前広場には、夕涼みをするたくさんの人たちが寛いでいた。
4年前、飛行機が飛び込んでニュースになった駅前の大きなビルは、すっかり改装されて綺麗になっていた。
風格ある駅舎をカメラに収め、のんびりホテルに引き返した。
夕食は、機内食の残りとグリンティー。軽くシャワーをして横になる。疲れてはいないが、時差:8時間。都合よく眠ることが出来ない。
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ミラノ中央駅正面 |
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小型飛行機が飛び込んで話題になったノッポビル |
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