★ 2003 ニュージーランドの旅
◆5日目〜6日目(1月19日〜20日) 雨〜曇 前の日へ
前の日
次の日へ
次の日
【本日の旅程】=ベアレイ→アーサーズパス→Janthe湖畔→FOXグレイシャー

(◆マークの付いた写真をクリックすると拡大画像が見られます)

◆5日目

 午前中、小雨の中を食料品買い出しに出かけた。昼頃から本降りとなった。やむなく、今日は室内でTVを見たり読書をしたりして過ごした。

◆6日目 View Point


Mt.Cook遠望
 雨上がりの快晴、という訳にはいかず、今朝もはっきりしない空模様である。しかし、部分的に青空が見えるので、地図にView Point (ガイドマップには、One of the best viewpoints in the area of the Fox Glacier and Southern Alpsと書かれていた)として記載されている地点まで行ってみることにした。それは、マセソン湖の先、此所から凡そ10キロ位の地点である。前回果たせなかったMt.Cookの展望が出来そうである。腰を据えて取材したいと思った。フロントのおばさんに、「もう1泊したい」とお願いしてOKをもらった。空を見上げて、おばさんが言った。「Now is the best! 」。急いで出発した。

 View Pointは、直ぐに分かった。小さな標識が立ててあったし、其処には、すでに2台の車が駐車していたからである。ようやく、白いMt.Cookを西側から眺めることが出来た。しかし、それはクリアーな姿にはほど遠く【写真左】、しかもほんのつかの間の時間でしかなかった。すぐに雲に覆われ、その姿は見えなくなってしまったのである。Fox氷河は、距離的にも近く高度も低いからであろうか、よく見えていた。とりあえず、その景観の写生を始めた。その内、雲が切れて展望が開けることを期待する。雲は絶えず動き、時々切れ間からMt.Cookが姿を見せた。急いで描き込む。1時間余り、淡彩も施して何とか物にした。時に小雨も降ったが、陽も差した。このView Pointからの展望を期待して、乗用車がやってきた。1台、又1台。しかし、いずれも、すぐに立ち去っていった。

◆Seal Colonyへ

 中型の観光バスもやって来てphoto stop、半数?位の人が下車してカメラを構えていたが、直ぐに Seal Colony への方角へ走り去って行った。Seal Colonyを地図で確かめてみたら、此所から凡そ10キロ。天候も思わしくないし、スケッチは切り上げて僕らも行ってみることにした。
 砂利道を走り始めると、まもなくバスに追い付いた。バスは曲がりくねった細い山道を、ことさら慎重に走り続けた。僕らも焦らず、その後について走った。10キロ余りの道程、対向車線に現れた車は1台だけであった。
 海岸のカーパークについた頃には、青空が拡がっていた。其処に立ててあった案内版によれば、Seal Colony まで The Gillespies Gold Dredge を経て往復3時間とあった。バスから降り立った人たちは、其処まで歩くのを目的に来たらしく、足拵えをしっかり整えていた。僕らは、そんな準備もないのでSeal Colonyに行くのは諦めた。砂浜に下り、タズマン海の潮風に吹かれた。海は荒れており、次々と打ち寄せる高波は、白い波しぶきをあげては砕け散った。砂浜には、様々な形をした流木が散在しているだけで人影もなく、荒涼とした眺めであった【写真右】

 カーパークに戻ると、もう人影は無かった。バスで来た人たちは全員、Seal Colonyに向かって出発したらしい。時計は12時を廻っていた。Picnic Aria にテーブルがあったので、そこに座ってランチにした(パン、テイー、ゆで卵、バナナ)。じっとしていても汗ばむような暑さになった。

 見回してみても、周りの風景は平坦な海岸が続くのみで、特に魅力的な眺めはなかった。タスマン海は面白いと思ったが風が強く、とても写生出来る環境ではなかった。天気は良くなったけれども、今日の予定は何も無い。時間はあるし、折角だから僕らもSeal Colonyに行ってみることにした。


◆面白い形の流木 ◆

◆海岸を歩く

 標識に従って歩き始めた。海を左にして両側にブッシュの続く細い道を行く。種類は少ないが、花も咲いていた【写真下】。木の枝や葉っぱに、白いネットの丸い風船のような物があちこちに付いていた。それは、初めて見かける不思議な物であった【写真下・右端】。(後刻、何人かの人にデジカメの画像を見てもらい、これは何だ?と聞いてみたら、それはスパイダーネスト、という答であった。この袋の中で子供を育てるのだそうだ。)

鬼アザミ

フォックスグローブ

フォックスグローブ

スパイダーネスト
 

金の製錬所跡
 Gold Dredgeというのは、昔の金の製錬所跡らしい。水溜りの中に、すっかり錆びてしまった鉄の骨組みや設備品の一部が放置されていた【写真左】
 道は其処から海岸に出て、砂浜をまだまだずっと先まで行くらしい。波の打ち寄せる海岸線の方が歩き易いので、しぶきを浴び乍ら歩いた。その海岸を一人で歩いて来た男がいたので尋ねてみたら、「まだまだ遠い」と言う。そのずっと先の方は、波しぶきに煙って見えなかった。間もなく、バスで来たグループが戻って来るのに出会ったので、リーダーらしい男性に聞いてみた。コロニーはまだ先であり、今日は天候も荒れているから、シールを見ることが出来るかどうかは分らないと言う。彼らも途中で引き返して来たらしい。僕らも、断念して撤退することにした。

 カーパークに向かってブッシュの茂る道を歩いていたら、突然、野生のヤギの夫婦に出会った。僕らの前を、仲良く連れ添ってゆったり歩く姿に見とれながら歩く【写真左・下】。ずーっと一緒に歩きたかったが、カップルは間もなくブッシュの中に消えてしまった。

野生のヤギ夫婦

◆Franz Josephへ

 帰路、もう一度peak viewpoint に寄ってみたが、山並みはすっかり雲に覆われて見えなかった。マセソン湖も考えたが、山並みが見えないことには魅力はない。遠くにマセソン湖の駐車場を左に見ながら通過した。モーテルに帰っては来たものの、まだ時間はたっぷり残っていた。この村に再び来ることはないだろうな・・・と思われ、もう一走りしようか、ということになった。1昨日通過しただけだが、ちょっと魅力を感ずる隣の村:Franz Joseph を訪ねることにした。F.J氷河の観光を目玉にしている村である。

 


◆St.James 教会◆

教会の庭に咲く花

Visitor Centre で、トレイルBが楽であることを確認。此所の駐車場に車を置いて、先ずはSt.James 教会を訪ねてみた【写真上】。「窓から見える山が美しい」と、ブルーガイドに紹介されていたからである。しかし、残念ながら鍵が掛かっていて建物の中に入ることは出来なかった。庭を巡ると川向こうに山並が見えた。天候が良ければ、あの山並の上に白いアルプスが並んで見えるのであろう。そんな景観を想像してみた。きっと見事な美しさに違いないと思われた。庭には沢山の花が咲いており、心を和ませてくれた【写真左】

  川を渡り、砂利道のGlacier Road を奥に向かって進んだ。トレイルBが人気のコースらしく、かなり広い駐車場に、沢山の車がとめてあった。往復20分という山道を展望台へ。道はしっかり整備されており【写真右】、いろんな国の観光客とすれちがった。展望台には観光案内のパネルがあり、眼前に展開する氷河の姿を興味深く眺めることが出来た【写真右・下】。しかし、何しろ狭い展望台であり、後ろがつかえてしまうので、のんびり眺めている訳にもいかない。氷河の歴史や、とりわけこの氷河にまつわる伝説は面白いと思った。その概略を以下にメモしておくことにする。

「なだれ娘の涙」

 Hine Hukatereは、冒険好きなマオリ族の娘で、なによりも登山が好きでした。彼女の恋人Taweは、彼女ほどには山登りが好きではなかったのですが、Hineに誘われてよく一緒に山へ登りました。ある時、彼は谷で足を滑らせて転落し、死んでしまいました。Hineの流した涙はあまりに多く、谷に溢れるほどでした。神は彼女の悲しみが忘れ去られることのないように、その涙を凍らせたのでした。

展望台への道

◆氷河◆
(100年位前迄は、手前の河原も氷河で埋められていたらしい)

◆土螢

 往復50キロ弱ではあったが、カーブが連続する細い山道の運転には神経を使い、いささか疲れた。モーテルに帰りつき、パン・チーズ・果物その他で夕食を済ませたら、ワインの酔いもあって、二人とも眠ってしまった。10時半頃目覚めて、大事な事を思い出した。
「土螢」を見に行かなくっちゃ!
 土螢見学所の入口で一人2ドルを支払い、土螢が生息している暗い戸外に出た。外灯の灯りも遮断してあるその場所は、殆ど真っ暗闇の世界であった。ロープが張ってある見学順路をソロソロ、手探りで進む。間もなく暗闇にも目が慣れてきた。「土螢」は、丁度崖下の窪みになっている箇所に生息しているらしく、それは僕らの目の高さであったので、かなり接近して見ることが出来た。無数に点在する「土螢」の青白い光は、日本の螢とは違って点滅したり移動したりはしない。しかもミリ単位の光 であり、静寂の暗闇に青く光る無数のそれは、無限に拡がる天空の星空をも連想させて、幻想的な美しさであった。デジカメで撮影したかったが、撮影は禁止されていた。
 モーテルに帰って入浴をすませたら、12時が過ぎていた。
「歩き方」によれば、西海岸は「夏は多雨で冷涼」とある。正にその通りであり、昨日から部屋には暖房を入れている。


ライン


ホームへもどる
HOME

前の日
次のページへ
次の日