◆ ソーリオの朝
素晴らしい天候に恵まれたことを感謝する。今日はともかく、のんびり村を散策することにした。
朝食の前にホテルの庭から眺めると、村は薄く朝靄に包まれており、差し込む朝日に家々の壁が眩しく輝きはじめた【写真】。
遠くにScioraや朝日を受けて CengaloやBadileの鋭い岩頭も望まれて、ブレガリア山群の眺めもまた格別である。 |
ソーリオの朝 |
◆ 平和な村の眺め |
昼食や写生道具だけを背にしてホテルを後にした。ソーリオは、小さな村である。5分も歩けば、集落の外に出てしまう。東側に抜けて、振り返って眺めると、石屋根が重なり寄り添うように並ぶ集落が、朝日に映えて静かな朝を迎えていた。ほとんど無彩色に近い家並みが、殊更に自然に埋没した落ち着きと
静けさを強調しているようである。遠くに見えるのは、昨日バスで走ってきたコモ湖の南側に連なっていたイタリアの山々であろう。足下に咲く色鮮やかな赤や黄色の草花を近景にして、この平和な眺めの写生に取り組んだ。 |
◆ パノラマビュー
南に面した斜面に『Sentiero Panoramica』の細い路が刻んである。ブレガリアの谷と雪を頂いた山群をパノラミックに一望する事が出来る路である。この路を東に辿れば、20世紀を代表する彫刻家ジャコメッテイが生まれたスタンパやヴィコソプラーノ、そしてマロヤ峠へも行けるはずである。
途中まで登ってみた。綺麗に刈り込まれた緑の円やかな丘陵を近景にして、緑濃い深い谷とその上に連なる山群はまことに壮大な眺めであった。日当たりの良すぎる場所であったが、叉スケッチブックを手に座り込んだ。
【油彩画の完成作品はこちら】 |
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◆ 村の散策
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中世を思わせる異形の人面 |
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すっかり日焼けしてしまい喉も乾いてしまったので、日陰を求めて村に引き返した。
この村で一番古くて格式を誇っているホテルPalazzo Salis(犬養道子著『私のスイス』によると、ソリオ候の城をそのままホテルにしたもの)
の壁面に、中世を思わせる異形の人面が幾つも張り付けてあった。各々にいわくある人面に違いないと思うのだが、聞きそびれてしまった。
ちなみに、この村にはホテルは3軒ペンションが1軒あるだけである。窓辺や階段などには小さな鉢植の花が置かれてあり、見る人の心を和ませてくれる。何百年も使い続けているのであろう共同の水洗い場は今も現役であり、ここにも花が飾ってあった。 |
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窓辺の小さな鉢植の花たち |
風格の備わった木と石の家 |
路地裏にて |
風雪に耐え風格の備わった住まいの窓や板壁を眺め乍ら細く入り組んだ路地裏を散策していると、何故か心の休まる思いがする。まだまだ日差しの強いホテルの庭で、背に太陽を浴び乍ら飲み干した生ビール、格別の美味しさであった。 |
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