6時半起床、案の定曇り。 昨夜の雨は、山上では雪。此所から展望出来る近くの山稜は、白く化粧されていて美しい。
◆ ツェルマット、さようなら
8時、チェックアウト。 8時半、駅前広場は電気自動車が忙しく行き交い大変な賑わいである。次々と集まってくる人たちは、氷河急行に乗車するするのであろう。半数近くは、日本人観光客の様に見受けられる。
次第に青空が広がり始め、駅前広場は爽やかな朝の明るさに輝きはじめた。家内、「もう1日だけ、ステイしようか?」と言う。大いに物足りない気分を、チョット吐露してみただけであろう。又訪れる日のあることを願い、6度目の訪問を楽しみにしたいと思う。
僕らはいつもの鈍行列車、2等の座席に落ち着いた。 |
<今日の旅程>
◆ 南国へ移動
ロカルノ駅ホームにて |
ブリーク <Brig> で国際列車に乗り換え、シンプロン峠
<Simplon pass> の下を長い国境のトンネルでくぐると、そこはイタリア領である。イタリアの国境警備隊の隊員二人が、トイレの中も調べ乍ら厳しい表情で一人一人のパスポートを確認していく。厳しい検問であった。
ドモドッソーラ <Domodossola> のホームには、冷たい風が吹いていた。ここでFart鉄道に乗り換え、チェントヴァッリ <Centovalli> (百の谷)の村々を眺め乍らスイス領のロカルノ <Locarno> へ向う。チェントヴァッリ鉄道とも呼ばれているように、幾筋もの深い渓谷を次々と越えては走って行くのだが、車窓を流れる景観【写真下2枚】は、2,3を除いてさほどのものではなかった。期待が大きすぎたのだろうか。
列車が太陽の眩しいイタリア領をぐんぐん南下すると、気温は次第に上昇。いつの間にか半袖の乗客が多くなり、タンクトップ姿の若い娘達の姿が目に眩しい。僕もシャツ一枚になった。もう、ここは南国である。
終着駅ロカルノで再度乗り換え、今日の宿泊地に決めたベリンツォーナに向う。 |
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←↑ チェントヴァッリ鉄道の車窓より |
◆ ベリンツォーナ <Bellinzona>
ここは再びスイス。しかし、人々の交わす会話や明るい雰囲気は、100%イタリアを感じさせる。太陽は肌に熱いが、吹く風は爽やか。木陰に入ると涼しく感じる程である。
駅前は、こざっぱりとして静かな佇まい。感じの良い街である【写真下左】。西側の緑濃い斜面には、カラフルで明るい住居が、稜線に向けて次第に小さくなり乍ら美しく
並んでいた。
午後2時半、駅前に建つHOTEL ALBERGO INTERNAZIONARE【写真下右】にチェックイン。 フロントに英語の喋れる人が一人もいない。完全にイタリア語圏である。
この町は2万人たらずの小さな規模であるが、ティチーノ州の州都。それなりの貫禄が感じられる。
ホテルの窓から3つある城の内の一つを望むことが出来た。これは、カステル・ピッコロ(小城)。このずっと上の方にサッソ・コルバロ城があるらしい。そして第3の城カステル・グランデ(大城)は、町の中心に在ると言う。早速、行ってみることにした。 |
ベリンツォーナ駅前 |
HOTEL ALBELGO INTERNAZIONARE |
◆ カステル・グランデ
カステル・グランデ |
大きな大きな自然の巨岩の上に建てられたカステルグランデはすぐ見つかった。圧倒される思いで、思わず見上げてしまったが市街地の中、距離をおいて眺めることが出来ないので全体の姿は分からない。
お城の上には、立派なエレベーターで上がることが出来た。お城の中の監視塔にはラセン階段が作られてあった。勿論、どんどん行ける所まで行ってみる。高い所が大好きである。城壁の上は、昔兵士が槍を担いで往来していたであろう細い通路があり、強い風に飛ばされないよう帽子を押さえて歩いてみた。
360度、すばらしい展望であった。かってローマ時代には戦略上重要な位置を占めていたといわれるだけあって、頑丈な石作りの要塞は強く歴史を感じさせてくれた。今では、市民の憩いの場所として親しまれており、時にはライブの催しもあるらしい。今日は、オペラ・カルメン公演の為の舞台設営が進められていた。
此所からカステル・ピッコロ城が指呼の間に望まれ【写真】、その上にサッソ・コルバロ城も小さく認めることが出来た。
ホテルのレストランで夕食を済ませ、部屋の窓から外を眺めると陽は未だ空に在った。9時、ようやく夕暮れである。今日は、ブリークを出てから日本人には一人も出会っていない。珍しいことだと思う。 |
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